日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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幹迷切後のRatにおける胃幽門洞ガストリン細胞と胃内ソマトスタチン細胞の動態についての実験的研究
野見山 世司西岡 文三石井 孝中村 憲二吉中 正人藤田 佳宏間島 進
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キーワード: 幹迷切
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1982 年 79 巻 5 号 p. 1073-1083

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抄録

wister系Ratを用いて,幹迷切後50日,70日における胃幽門洞粘膜内gastrin cell (G-cell)と胃幽門洞及び胃体部粘膜内somatostatin cell (D-cell)のpopulation変化を酵素抗体法にて検討した.また酵素抗体法とAutoradiographyを組みあわせてG-cellのproliferation kineticsについても検討した.幹迷切後には空腹時血清ガストリンの有意上昇と幽門洞粘膜内G-cell総数の増加が認められた.しかしG-cell数の分布密度は迷切後は対照と比して差はなかつた.G-cell数の増加は迷切後の幽門洞粘膜の面積の拡大に相当した.
一方,幽門洞胃体部粘膜のD-cell数は迷切後には有意の増加を示した.この増加は迷切後の胃体部粘膜の肥大だけでは説明つかず他の機序が考えられた.幽門洞粘膜G-cellのAGRによるproliferationkineticsでは迷切後では増殖能力を有するG-cell数が増加し,さらにgenerative cellからのG-cellへの分化増殖も促進しているのが認められた.
以上より,迷切後血清ガストリンの上昇の一因はG-cellの増加の為でありG-cellとD-cellは関連して増加するものと思われた.

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