日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
各種肝疾患におけるHDL結合ICGの臨床的意義について
高瀬 修二郎
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キーワード: HDL結合ICG, polyanion沈澱法
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1982 年 79 巻 5 号 p. 1115-1122

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抄録

ICGは主として血清のリボ蛋白およびアルブミンに結合するが,肝の病態によってはその結合様式が変化することが考えられる.そこで各種肝疾患についてpolyanion沈澱法により血漿リポ蛋白をHDL,LDLおよび非リポ蛋白に分面し,各分画蛋白に結合するICG比率を算定した.これらのうちHDL結合ICGは各種肝疾患においてきわめて特異な変動を示し,その測定は脂肪肝の病因の鑑別,急性肝炎の重症度や予後の判定,さらには慢性肝疾患の病態の解析にきわめて有用な検査法と考えられた.このHDL結合ICGの変動にはHDLの絶対的ないしは相対的変化が関係しているが,その変動にはアポA-Iの変化がより強く関係している可能性が推測された.

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