1982 年 79 巻 5 号 p. 1156-1163
膵疾患,非膵疾患計238例にPS試験の際,膵型isoamylaseによる血清酵素逸脱誘発試験(誘発試験)を実施した.膵外分泌異常は112例にみられ,亢進群75例,軽度低下群21例,高度低下群16例であつた.誘発試験陽性は全対象中33.2%の頻度にみられ,膵疾患群では急性膵炎後,膵癌,膵嚢胞,慢性膵炎疑診群,非膵疾患群では肝硬変,消化性潰瘍,胆道疾患などに多かつた.膵疾患群,非膵疾患群とも外分泌亢進群では誘発陽性頻度が高く,それぞれ51.9%,39.6%をしめた.したがつて逸脱誘発陽性の病態に膵の過分泌状態が重要な因子となり,また長期経過観察例からも逸脱誘発現象と膵外分泌機能は密接に関連していることが分った.