日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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腸チフス•パラチフス胆道系長期保菌者の外科的療法
唐木 一守松原 義雄
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1984 年 81 巻 12 号 p. 2978-2985

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抄録

保菌者92例の手術を行つた. 90例は胆石を有し, 2例はその疑があつた. 5例に胆嚢癌の合併を認めた. 手術により排菌が停止した症例は4月間, 術後抗生物質療法を追加したものは1年間菌検索を行い, 74例のうち70例 (94.6%) を治癒とした. 胆嚢結石66例の治癒率は98.5%であつたが, 胆管結石8例のそれは62.5%で, 胆嚢結石の治癒率が良好であつた(p<0.005). 不成功4例は総胆管拡張を認め, うち1例は肝内遺残結石を認めた. 胆石の存在が保菌状態の主病因と思われるので, 手術は胆石の完全除去を計るべきである. 胆嚢摘出を原則とし, 胆管に胆石または拡張を有する症例には総胆管切開を行う. 小結石遺残の疑があれば乳頭形成を行う.

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