日本消化器病学会雑誌
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内視鏡的食道静脈瘤硬化療法時における凝固線溶系の変動
河島 祥彦
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1990 年 87 巻 2 号 p. 163-172

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抄録

内視鏡的食道静脈瘤硬化療法 (EIS) 時における凝固線溶系および血小板凝集能について検討した. その結果, 1) 硬化剤の静脈瘤内•外注入併用群 (A群) では接触因子系の活性化を反映するF. XIa-α1antitrypsin 複合体は著明に上昇し, これは硬化剤の血管内皮細胞障害によるものと考えられた. 2) A群では凝固線溶系は著明に変動したが, 多くの指標はEIS後18時間でEIS前値に復帰し, また出血傾向や全身多臓器障害を認めずDICとは異なる病態と考えられた. 3) 硬化剤の静脈瘤外注入単独群 (B群) では凝固線溶系の変動はみられなかつた. したがつて, 極度に肝機能の低下した症例に対しては静脈瘤外注入単独法も考慮すべきと思われた. 4) EIS前後で血小板凝集能に大きな変化は認めなかつた.

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