1990 年 87 巻 9 号 p. 1809-1814
フリーラジカルによつて惹起される胃粘膜の虚血•再灌流傷害は superoxide dismutase (SOD) の外来性投与によつて抑制されることが証明されている. しかし, 虚血胃粘膜における内因性SODの動態は不明で, 本研究ではラットに脱血虚血のみを与えた群と虚血後脱血血液を再輸血した群で胃粘膜内SOD活性を測定した. 両群の胃体部, 前庭部粘膜内SOD活性はいずれも対照群に比して有意に増加した. しかし, この増加は xanthine oxidase 阻害剤の allopurinol の前投与で抑制された. 以上より, 胃粘膜内SOD活性はフリーラジカル産生にともない増加すると考えられた. また, フリーラジカルは虚血期にも産生されうると推測された.