日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
フランスにおける肝移植の現状と倫理的態度の特徴
Michel MignonJ. P. Delmont
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1993 年 90 巻 10 号 p. 2747-2751

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抄録

著者らはまずフランスにおける肝移植の現状について報告し, 特にその指数関数的な増加に注意を喚起する. また肝移植の主な適応を成人ならびに小児について概説する. 厳格に管理された大学チームにより摘出された肝臓がどのような配分を受けているかに関しても, 簡単に述べる. さらに肝移植に対するフランス人の倫理的な姿勢の特徴について, ドナーとレシピエント, 社会に分けて考察する. ドナーの同意を得たものとの推定条件を規定し,「脳死」の考えを承認する法的措置は, フランスの肝移植の進展を促進した. しかしこのような措置にもかかわらず, 移植に利用できる肝臓が不足しているため, 待機患者のリストはなお長いものであり, 臓器移植を促進するキャンペーンが全国的に進められている. フランスでは, 臓器提供は無償とするとの絶対的な原則を厳格に遵守し, 移植に使用する摘出臓器の売買を禁じることに, 強い社会的な合意がある.

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© 財団法人 日本消化器病学会
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