食道静脈瘤に対し5%エタノールアミンオレイトの静脈瘤内注入による硬化療法(EIS)を施行した肝硬変患者143例で,肝機能の変化を検討した.肝機能悪化の指標として,硬化剤による溶血の影響を除いた Intravariceal Injection(I.I.)index[(ΔT.BiL/ΔLDH)×100]を用いた(正常域0.2以下).EIS 全過程前後で肝機能(T.Bil.,PT,ICG)が悪化した群の I.I.index は治療初期から高値を示した.EISの反復により index が上昇する症例は肝不全に陥る危険性が高く,I.I.index は EIS による肝機能悪化を他の肝機能検査より早く予測可能と考えられた.また肝不全で死亡した23例の生存期間と I.I.index は有意に相関し,5年以上の生存例32例の、index は0.22±0.15と正常で,I.I.index は長期予後をも反映すると思われた.