日本消化器病学会雑誌
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リンパ節転移陽性早期胃癌の特性について―粘液組織化学および顕微蛍光測光法を用いた検討―
野田 昌夫
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1995 年 92 巻 4 号 p. 742-750

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抄録

外科的に切除された胃癌症例を用いてリンパ節転移陽性早期胃癌を臨床病理学的に検討するとともに,粘液組織化学とDNA ploidyの観点からそれらの特性を解析した.早期胃癌症例241例中,リンパ節転移を認めたものは18例であった.リンパ節転移陽性の早期胃癌では胃型の形質を有するものが18例中15例で,有意に高率であった.リンパ節転移陽性の18例中7例に分化型癌に未分化型癌を混在する所見を認め,そのいずれも胃型の形質を示していた.特に粘膜内癌においては,リンパ節転移陽性例はいずれも胃型の形質を示していた.一方,核DNA量に関しては,リンパ節転移陽性群のaneuploidは18例中8例であり,その出現率において明らかな有意差は認めなかった.

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