1998 年 95 巻 1 号 p. 18-25
Helicobacter pylori陽性者における13C尿素呼気試験のΔ13C(UBT値)に影響を及ぼす因子を検討する目的でUBT値と生検標本による胃粘膜組織所見および胃液中アンモニア濃度との関連について検討した.UBT値はH.pylori菌量が多い程高い値を示し,この関係は胃体部でより強かった.UBT値は前庭部好中球浸潤の増加とともに高値を示し,胃体部萎縮の増加とともに低値を示した.UBT値と胃液中アンモニア濃度との関連はみられなかった.H.pylori陽性者におけるUBT値は胃粘膜組織所見をある程度反映しているという今回の結果から,13C尿素呼気試験は単にH.pyloriの存在診断のみならず,種々の臨床応用の可能性を有する検査法と考えられる.