日本消化器病学会雑誌
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大腸ムチンの量的変化からみたラット実験潰瘍性大腸炎の検討―DSS大腸炎とNEM大腸炎との比較検討―
中野 史郎小原 進久保田 敏彦西元寺 克禮堀田 恭子
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1998 年 95 巻 6 号 p. 513-523

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抄録

2つのラット潰瘍性大腸炎(UC)モデルを対象に大腸ムチンに関して量的・組織化学的面について検討を加えた. 2つのモデルとしては,硫酸化多糖体のデキストラン硫酸(DSS)とSH阻害剤であるN-エチルマレイミド(NEM)により誘起される実験大腸炎を用いた. その結果, 両モデルともに肛門近傍の局所大腸粘膜において杯細胞の減少, 炎症細胞の浸潤およびびらんが認められた. 他方, 両モデルともに肛門近傍を含む大腸全長の約2/3の肛門側大腸でムチンの増加が認められた. 局所的には杯細胞が消失するのに反してムチンが増加したことは, 大腸の機能を維持する一種の生体防御反応であると考えられた.

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