2019 年 23 巻 1 号 p. 71-78
近年,乳がん罹患率は増加を続けている.女性の出産時年齢も上昇し,妊娠・授乳期の乳がん罹患リスクは高まりつつある.本研究は妊娠関連乳がんに焦点を当て,先行研究を整理・把握することで,妊娠関連乳がんに関する研究の動向を明らかにし,今後の看護に示唆を得る事を目的とした.研究方法は文献研究で,医中誌Web版Ver.5から「乳がん合併妊娠」のキーワードで,看護の文献に限定して検索したところ,48文献が抽出された.さらに原著論文に限定した上で文献を概観し,研究目的から外れているものを除外し,12文献を対象文献とした.妊娠関連乳がんの看護文献は1990年初期からみられるが,10年前から増加がみられる.しかし妊娠関連乳がんの文献数はいまだ少なく,特に質的研究数を増やすことが望まれる.妊娠関連乳がん患者を支援するにあたり,意思決定支援が重要であることが報告されていた.患者の専門医受診遅延期間を短縮するため,周産期領域で従事する看護者への乳がん教育が必要であり,教育を受けた看護者は,乳がんの知識と自己診断方法を普及する役割があると示唆された.