香川大学看護学雑誌
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地域の健康課題解決のために活動する地域自主組織への支援のあり方検討
地域の健康課題解決のために活動する地域自主組織への支援のあり方検討
-1年間の活動のプロセス評価から-
森永 裕美子
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2020 年 24 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

目的

保健・福祉に関連した健康課題解決に向けて活動する地域組織の自主的活動の経過(プロセス)を評価し,活動を継続的に展開していくための支援のあり方を明らかにすること.

方法

地域自主組織と共に活動しアクションリサーチで得られた質的データを分析する質的帰納的記述研究である.地域自主組織の活動を「構成員の状況」,「研究者からみた組織の動き」で整理し,プロセス評価を行い検討した.

結果

地域自主組織の活動プロセスとして1)意気の高揚期,2)一進一退期,3)能動的なチームワーク形成期,4)活動方向と組織ビジョンに基づく活動期の4段階期で示されるチームワーク構築プロセスがあった.また,地域自主組織活動を行う組織・構成員に関するあり方として,【客観的に組織の状況を見極められる支援者を得ること】,【各構成員が活動目的やその成果の方向性,役割認識を持って動ける自律性】があった.

考察

地域自主組織活動プロセスにおいて組織内に解決課題を焦点化したチームを1つ築くというチームビルディング理論を踏まえた支援と活動プロセスの段階に応じた支援を行う必要があることが示唆された.客観的に状況を見極められる支援者を得るという組織としての姿勢や各構成員が活動目的やその成果の方向性,役割認識を持って動ける自律性をもつという,組織に所属する個人の変化が組織の活動に影響するため,個人のエンパワメントを踏まえた支援が活動の継続に有効であることが示唆され,組織を客観的にみてタイミングよい支援を行うことが継続的活動に効果的であると考えられた.

結論

地域包括ケアシステムの運用において,地域自主組織の有意義な活動で役割発揮が期待できるため,地域の自立した自主組織であっても,活動段階を見極め,チームビルディング理論を用いて組織内でチームワークを構築するという視点での支援や,客観的視点での助言を行う等の支援が必要となることが示唆された.

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© 2020,香川大学医学部看護学科

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