香川大学看護学雑誌
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娘の里帰り出産をサポートした就労実母の思い
娘の里帰り出産をサポートした就労実母の思い
小野 愛実佐々木 睦子小松 千佳石上 悦子
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研究報告書・技術報告書 オープンアクセス HTML

2022 年 26 巻 1 号 p. 51-63

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抄録

目的

娘の里帰り出産をサポートした就労実母の思いを明らかにすることである.

研究方法

A病院で出産した娘の里帰り出産を引き受けた就労実母8名を対象に,半構造化面接法を実施し,質的帰納的に内容の分析をした.香川大学医学部倫理委員会の承認を得て実施した.

結果

就労実母は,娘の出産時に親から受けた支援を娘にも同じようにして力になりたい思いと同時に,娘をサポートする不安も抱いていたが,【家族に支えられながら娘の里帰り出産を引き受ける】思いに至っていた.実際に娘が里帰り出産で帰省すると生活全体が変わり,娘をサポートするための仕事の調整も必要となり,【仕事と娘へのサポートの調整は大変】であると感じていた.そして,娘が里帰り出産を終えると実母の生活は一変して元に戻り,【サポートを終えた後の寂しさと安堵】の思いを抱いていた.一方,里帰り出産を終えた後の娘からの感謝の言葉と子育ての様子から,【成長した娘の姿と役割を果たした満足】を得ていた.

考察

就労実母自身の育児経験は,娘を助けたいという思いに繋がっていた.実際に,娘の里帰り出産を引き受けることは,非日常であり,仕事と娘へのサポートの両立をするための葛藤を抱き,その調整は大変という思いに繫がっていたと考える.しかし,里帰り出産でのサポートを終えた後の感謝の言葉と娘の成長した姿を見届けることは,母親としての役割を果たした安堵と満足に繋がり,娘の第2子の里帰り出産を引き受けるために仕事を頑張るという生きがいに繋がっていたと考える.

結論

就労実母自身の育児経験は,初めて出産した娘を助けたいという思いに繋がり,家族に支えられながら里帰り出産をサポートしていた.就労実母は,仕事と娘へのサポートの調整は大変であると感じていたが,感謝の言葉と娘の成長した姿を見届け安堵するとともに満足を得ていた.

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© 2022,香川大学医学部看護学科

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