脳血管内治療
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原著
コイル塞栓術を第一選択とした高齢者破裂脳動脈瘤治療の妥当性
栗原 伴佳原口 浩一大瀧 隼也清水 匡一松浦 伸樹尾金 一民伊藤 丈雄
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 3 巻 2 号 p. 47-52

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抄録

【目的】平均寿命の延びに伴い高齢者のsubarachnoid hemorrhage(SAH)の治療ケースは増加している.コイル塞栓術第一選択の施設における治療成績について検討した.【方法】2010 年 4 月から2017 年6 月に治療した80 歳以上の破裂脳動脈瘤によるSAH 33 例(女性30 例, 80–93 歳,平均年齢84.6)を対象として,コイル塞栓術群とクリッピング術群の間で患者背景因子,転帰を比較,検討した.また治療困難例に関しても考察した.【結果】コイル塞栓術群が22 例(66.7%),クリッピング術群が11 例(33.3%)であった.退院時または3 カ月後のmodified Rankin Scale(mRS)が0–2 の群は,コイル塞栓術群が22 例中6 例(27.3%),クリッピング術群が11 例中2 例(18.2%)であり,有意差はないがコイル塞栓術群で予後良好例を多く認めた.しかしながら,mass effect のある血腫を伴う症例がクリッピング術群に4 例(36.4%)含まれていた.また,高齢を理由とする治療困難例が少なからず認められた.【結論】高齢SAH 患者に対するコイル塞栓術第一選択施設の治療成績は,若年と比較すると転帰良好となる率は低かったものの,手技に関係した合併症は少なかった.しかしながら,症例に応じたクリッピング術の選択と,高齢ゆえの種々の留意点が存在するため,治療時の工夫,治療後の全身管理が重要と考えられた.

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