論文ID: oa.2016-0009
【目的】急性脳主幹動脈閉塞に対するPenumbra system を用いた再開通療法の有効性と安全性について検討した.【方法】急性脳主幹動脈閉塞に対して,Penumbra system を用いて再開通療法を行った45 症例(男26 例,平均年齢75.5 歳)を対象とした.全例において,発症から再開通までの時間,動脈穿刺から再開通までの時間(PtoRT),再開通程度(TICI grade),来院時のNIHSS,退院時modified Rankin scale を記録した.【結果】閉塞部位は,頭蓋内内頚動脈(ICA)9 例,中大脳動水平部(M1)17 例,中大脳動脈島部(M2)9 例,脳底動脈(BA)9 例,後大脳動脈(PCA)1 例であった.45 例の内,27 例でrt-PA 静注療法が無効であった症例であった.発症から再開通療法開始までの時間は,1.5 から6 時間(平均5.9 時間)であった.TICI IIb 以上であった29 例のPtoRT の平均は,28.9±10.8 分であった.再開通療法後,TICI IIa 以上の再開通は,40 例(91%)に,TICI IIb 以上の開通は33 例(73%)に得られた.ICA とM2 の再開通率は,M1 や椎骨脳底動脈と比較して低かった.Penumbra system の世代間で,PtoRT,再開通率ともに差は認めなかった.発症時のNIHSS は5–36(平均18.3)点で,退院時のmRS は2 以下が16 例(36%)で,閉塞部位別では,IC,M1,M2,BA+PCA それぞれ,11.1,50.0,11.1,100%であった.再開通療法による合併症として,出血性梗塞による死亡が1 例に認められた.【結論】Penumbra system を用いることにより短時間で,高率の再開通が,安全に得られると考えられた.内頚動脈閉塞および中大脳動脈M2 部閉塞は,再開通率が低く,予後不良例も多く認められた.この部位の再開通には更なる検討が必要と考えられた.