日本農村医学会学術総会抄録集
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第54回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1J13
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一般演題
Webを利用した細菌検査結果報告システムの構築
池部 晃司白井 和美笹谷 真奈美林田 静枝水野 誠士
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抄録
[はじめに]
 現在、厚生労働省が示すグランドデザインの提唱などの行政側の動きや患者側へのインフォームドコンセントやセカンドオピニオン等に対応するために、電子カルテ導入を軸とした医療情報の電子化は各医療機関において急速に進展している。検査室として情報を適切に管理し、迅速に提供できるシステム構築が不可欠であるが、当院細菌検査室においては従来のペーパーによる依頼・報告の体制をとっており、決して電子カルテ化に対応可能なシステムとはいえない。
 そこで今回、電子カルテ導入(次年度)に備え細菌検査結果Web報告システム(以下細菌検査Webシステム)を構築したので紹介する。

[システム概要]
 検査内の検査業務サーバーに加えて検査Webサーバを配置し、オーダリングLANからの結果参照を可能にした。検体検査、生理検査、細菌検査の各分野のWebシステムをリンク表示可能とし、細菌検査においては検体検査の一部データを細菌検査Webシステム内で参照可能とした。検査WebサーバのOSにはWindows2000serverを使用し、ソフトにApache、データベースにはSQLサーバを使用した。動作環境はInternet Explorer 5.0以上とした。

[導入目的および目標]
 ・細菌検査の結果報告の一部をペーパーレス化し、コスト削減をめざす
 ・細菌検査結果や菌種・薬剤等の情報を共有し、各診療科に関係なく参照可能とする
 ・印刷操作等の省略による日常業務の効率化をめざす
 ・より迅速な結果報告をめざす(塗抹検査など)
 ・各端末での統計処理を可能にし、臨床に必要な情報を提供する

[結果]
 視覚的にわかりやすい画面表示にするため、意図的に現状の報告書イメージをそのままWeb表示させたのでシステム稼働時に大きな混乱はなかった。また、細菌検査の進捗状況をリアルタイムで表示させ、患者ID・カナ検索は勿論、受付日・報告日・診療科・病棟・依頼医での検索が可能となり、初期表示については各端末ごとに設定・変更ができるようになった。感染情報などカスタマイズ可能なWeb画面を構築し、診療や業務に必要な情報等が提供可能になった。

[考察]
 細菌検査Webシステム構築によりリアルタイムでの結果報告が可能になるとともに、将来の電子カルテ導入にも対応可能となった。さらに菌種・薬剤等の情報共有など今後の課題はあるものの報告書の一部をペーパーレス化できるなど当初の導入目的は十分に果たされたといえる。今後は患者情報の二次使用やセキュリティ面での充実を図り、電子カルテ導入に備える必要があると考える。
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© 2005 一般社団法人 日本農村医学会
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