【はじめに】
小児はリストバンドで確認するための協力を得ることが難しく、確認による恐怖心から不機嫌な状態、または睡眠を妨げ泣かせてしまう場合がある。そこで身体につながっている点滴ラインに着目し、患児に負担をかけずリストバンドと同等の患者確認が可能な方法としてネームシールを考案し活用した。
【研究目的】
リストバンドで確認困難な患児に対してネームシールを活用しての効果を明らかにする。
【研究方法】
期間:H16年6月1日から7月31日
対象:5階ゆり病棟の看護師20名(調査に協力の得られた人)
方法:期間中に入院した点滴施行患児129名にネームシールを活用後看護師に対し
質問紙調査(留め置き法)
【ネームシールとは】
診察券で氏名・ID・生年月日を4cm×5cmの白ビニールテープに印刷したものをいう。
【結果】
ネームシールを活用したのは夜間睡眠時(午睡時)18名、不機嫌な時12名、家族に確認できないとき8名(複数回答)。患児の機嫌、睡眠を妨げずにスムーズに確認できたと思う19名、思わない1名。
「不機嫌な時や夜間・睡眠時でも簡単に確認できた」18名、「入院時や急性期で状態の落ち着かない時、家族が付き添っていない時など機嫌を損なわず確認できた」8名(複数回答)。
【考察】
患児の機嫌、睡眠を妨げずにスムーズに確認できたと思うが19名と多いことから、ネームシールは児に負担をかけないで患者確認ができる有効な手段であったといえる。これは点滴ラインを利用したことで身体に直接触れずに容易に患者確認ができた為と考える。
菊地らは「患者確認の方法は絶対に誤りがないという方法は無いということを前提に複数の方法を組み合わせることが望ましい」と述べている。患者確認の方法としてリストバンドにネームシールを追加したことは誤認防止に有効であり、患者確認の選択肢を広げ、患者誤認(誤人)防止につながったと考える。
【結語】
1.ネームシールの活用により患児の機嫌、睡眠を妨げず患者確認がスムーズにできた。
2.リストバンドで確認困難な患児に対し、点滴ラインにネームシールを装着し活用したことは有効であった。