日本農村医学会学術総会抄録集
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第54回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1N03
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一般演題
小児点滴固定のための工夫
-専用ガーゼの使用を試みて-
若泉 智恵美岩堀 亜紀子松岡 未来広瀬 真知子
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抄録

はじめに
 当小児科病棟では、3歳以下の入院が70%占めている。治療上、半数以上は点滴治療が必要である。点滴の保護・管理のためシーネ固定が使用されている。小児は成人に比較して、新陳代謝が盛んであり、季節に関わらず発汗が多く、皮膚が汚れやすい。シーネを長時間使用することにより、テープによる圧迫で皮膚の密着がされやすい。患児は年少になるほど、皮膚の状態に対し訴えが出来ない為、手指間・手関節部に皮膚湿潤化により、皮膚の落屑やびらんなどの皮膚トラブルが多く見られている。そこで、3歳以下の点滴時シーネ固定使用している患児を対象に湿潤度が多く見られている部位に専用に作ったガーゼを使用し、連日ガーゼ交換を行なった。その結果皮膚トラブルの軽減に努める事ができ良い結果が得られたので報告する。
I.方法
1.期間:平成17年2月15日-3月15日
2.対象:点滴時シーネ固定を必要とする入院患児30名
3.方法:専用ガーゼを使用し、湿潤度の高い手指間・手関節部にはさみ連日ガーゼ交換・テープ交換を施行し、ガーゼ使用していない患児と比較した。
II.結果
 専用ガーゼを使用し、ガーゼ使用未の患児との皮膚状態の比較を行なった。ガーゼを使用していない患児は、テープ固定により手指間が密着され、湿潤した落屑が多く、中には皮膚の摩擦によりびらんしている患児も見られていた。しかし、ガーゼを使用している患児15名はガーゼにより皮膚密着がされにくく、通気性が図れ皮膚の湿潤度は軽度残るが皮膚落屑やびらん形成も見られず、臭いの軽減にも努める事が出来た。しかし、ガーゼ・テープ交換には、処置を嫌がる患児の負担やテープ交換の介助に2人の看護師が必要であるため、人手が必要である。また、テープ交換の際サーフロが抜去しやすいという欠点も残った。
III.考察
 今回、ガーゼを使用した結果、ガーゼを使用していない患児に比較し、15名全員が皮膚湿潤した落屑やびらん形成がみられなかった。3歳以下の乳幼児は、皮膚が弱く固定方法で皮膚トラブルが発生する事があるので十分な観察が必要である。このことから、ガーゼ使用は有効的なものと考えられる。また、看護師も皮膚トラブルを防ぐためのケアーに対し意識が高まった。今回の研究結果で、手指間にガーゼをはさむ事で通気性が図られ、除湿効果があり、新陳代謝の活発な患児に効果的に活用されたと考える。今後は、ガーゼ固定方法の統一や年齢に応じた固定ガーゼの大きさを考慮していく必要がある。点滴固定介助には、患児への負担、看護師の人手が必要である。さらに工夫と改善を重ね、患児への負担を少しでも軽減できるよう日々の業務の中で検討していく必要があると考える。
IV.おわりに
 今回の結果で点滴固定部位の皮膚トラブルの軽減が図れた。今後も工夫と改善を重ね、点滴固定における皮膚トラブル予防に努めていきたい。
参考文献
1)横山由美:新生児・小児看護,へるす出版,p.519-524,2004.
2)大木伸子:乳児・小児看護, へるす出版,p.525-530,2004.

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© 2005 一般社団法人 日本農村医学会
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