日本農村医学会学術総会抄録集
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第54回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2D05
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一般演題
内科外来での緩和ケアの取り組み
デスケースカンフアレンスを試みて
八尾谷 美香橋口 里美佐藤 三和子
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抄録

I.はじめに
内科外来(以下、当科とする)では終末期患者様を受け持ち看護展開している。しかし、最期の看取りの場は病棟か在宅であり外来の看護師が臨終の場に直接立ち会うことは出来ない。受け持った終末期患者様と家族との関わりから多くの学びを受けた。その学びを今後の当院での緩和ケアの向上に繋げる為デスケースカンフアレンス(以下、DCとする)を行なった。DCは緩和ケア病棟で日常的に行なわれているが一般外来においても緩和ケア病棟と同様に目的を達成出来るのか疑問に感じた。そこで、今回の研究を通し当科でのDCの現状を把握し意義と課題が明らかになったのでここに報告する。
II.研究方法
(研究方法) 調査研究(研究対象) 研究期間中に当科でのDCに参加した10名(当科看護師4名・処置室看護師3名・退院調整室(保健師)2名・医師1名)(研究期間) 平成15年5月-平成17年4月(データ収集方法) 半構成的質問用紙を用いてアンケート調査(データ分析方法) KJ法を用いカテゴリー化(倫理的配慮)・本研究の主旨・自由意志・プライバシーの厳守を説明し同意を得る・質問用紙は無記名
III.結果
質問1『DCについて知っている』と解答した人は9人。質問2『DCに参加してよかった』と解答した人は10人。質問2の理由として7のカテゴリーに分類。1.病状・看護を振り返られる 2.情報・問題点・経験を共有できる 3.看護の向上に繋がる 4.病気・治療・緩和ケアについて学べる 5.メンバー間の連携が強化される 6.患者・病状・看護・メンバーの考えが理解できる 7.今後の看護の課題が明確化できる。質問3『当科でのDCを継続すべき』と解答した人は10人。質問3の理由として7のカテゴリーに分類。 1.看護を振り返る 2.情報交換 3.看護の向上 4.学習 5.他部門との連携強化 6. 自己成長 7.他部門の外来看護への理解。質問4『当科におけるDCへの要望』についての質問では4のカテゴリーに分類。 1.現状維持 2.関連部署(病棟看護師・訪問看護師・薬剤師・MSW)の参加 3.DCの内容検討 4.学習会の開催 5.院内外への発表。
IV.考察
高宮は、DCの目的として「亡くなった患者さんの事例をもとに、行なったケアや看護方針を振り返り、問題点などを話し合う」と述べている。質問2の理由として病状・看護を振り返られる、情報・問題点・経験を共有できるとの項目が上げられており当科でも緩和ケア病棟同様にDCの目的を達成出来ていると考える。さらに、一人の経験・考え・学びをみんなで共有することで緩和ケアの質の向上に繋がっていると考える。また、スタッフの知識・能力にも差があり、DCを通しての学びやメンバーが協力しあうことで看護の質の向上にも繋がる。DCでの学びを得、自己成長することで緩和ケアのみならず日々の看護の姿勢によい影響を与えていると考える。今後は終末期患者様がその人らしく人生の最期を迎えられるように関連部署の参加により様々な視点での意見交換を行ない、さらに連携を深められるようなDCの開催が必要と考える。V.結論
・DCは当科においても緩和ケア病棟と同様の目的を達成でき、緩和ケアの向上に繋がる・DCは緩和ケアの向上のみならず日々の看護の充実にもよい影響を与える・関連部署の参加により多角的に意見交換していけるDCの開催が必要
VI.引用文献
高宮有介:一般病棟における緩和ケアのすすめ方.Expert Nurse15(2).52!)57.1999

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© 2005 一般社団法人 日本農村医学会
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