日本農村医学会学術総会抄録集
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第54回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2G01
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一般演題
院外処方箋に関する意向調査
!)当院外来患者へのアンケートを実施して!)
味岡 絢子堀越 建一下村 昌史高崎 茂雄
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抄録

【目的】医薬分業の広がりにより、平成16年度の全国平均分業率は54%を超えた。当院では平成13年11月より院外処方箋発行を開始し、原則として患者が院外処方箋・院内処方箋の選択をしている。平成16年度当院では、1日平均処方箋枚数は590枚に対し、院外処方箋発行率は11.3%と、約9割の患者が院内で薬を受け取っていた。今回、院外・院内処方箋に関して患者の意向を明らかにするため、調査したので報告する。
【方法】平成16年12月14日から平成17年2月5日の期間中、当院外来患者を対象にアンケートを実施した。
【結果】アンケート配布枚数2,000枚、回収率は82.2%であった。回答者は本人79%、家族17%、受診診療科は内科が最も多かった。薬の受け取りは77.1%の患者が院内を希望した(図1)。その主な理由は「わざわざ外に行く必要がない」であった(表1)。院外薬局でもらいたい理由は「待ち時間がほとんどない」が最も多かった(表2)。
【考察】77%の患者が院内での薬の受け取りを希望しており、その主な理由は「わざわざ外に行く必要がない」であった。郊外に位置する当院の患者は、自家用車の利用が多く、帰宅時に院外薬局へ立ち寄ることに手間を感じていると考えられる。また、院内での薬を希望した患者のほとんどが院内薬局に不満を感じていなかった。当院ではオーダリングシステムを導入しており、院内での薬の待ち時間は患者の負担になっていないと思われる。また、システム上で処方歴が簡単に検索でき、処方箋発行時に院内他診療科との重複投与・相互作用チェックがされており、院外薬局のメリットを充足していると言える。院外薬局のメリットとして詳しい服薬指導があげられるが、院内においても必要とする患者は薬相談コーナーを利用していた。その他、院内を希望する理由として「院内のほうが安心できる」という意見が複数寄せられ、患者は院内薬局に厚い信頼を置いていることがわかった。患者は自身の意向に基づき院外処方箋・院内処方箋の選択をしており、それぞれの薬局で受けるサービスに満足していると考えられる。当院では今回の結果を検討し、さらに患者サービスの質を高めるため、外来患者への服薬指導を充実させ、待ち時間の短縮を図っている。
【結論】多くの患者が院内で薬の受け取りを希望していた。患者の意思で処方の院内・院外を選択できる現行の方法は、患者満足度の高いサービスである。院外薬局のメリットが患者に十分に認知されていない現状において、院内処方箋に対する要望に応える為に、患者サービスの質を向上させ、多くのニーズに応えていきたい。

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© 2005 一般社団法人 日本農村医学会
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