日本農村医学会学術総会抄録集
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第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: sympo1
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シンポジウム1
医療提供体制の改革と地域医療の確保
菊岡 修一
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抄録

 現在進められている医療提供体制の改革では、「安心・信頼の医療の確保」という考え方の下「医師不足の問題」、「地域医療の連携体制」、「患者に対する情報提供の推進」、そして「信頼できる医療の確保」(EBM、医療安全対策の充実、医療従事者の資質向上、在宅医療の充実など)などがテーマとして示されている。
 これは、患者が自分の受ける医療に関して必要な情報が得られ、地域で連携体制が確保され、病院を退院した後の在宅医療もしっかりできる体制ができていくような、患者の視点に立った、安全・安心で質の高い医療が受けられる体制を地域、地域で作っていこうという考え方である。そのためのさらなる基盤整備としては、病院等を選択する場面での情報提供だけでなく、診療の段階での文書交付、医療安全の対策、EBMの推進、医師偏在問題への対応、医療従事者の資質向上などを行なうものである。
 このような中で、医師の偏在問題については、約27万人の医師の将来的な需給とは別に、僻地・離島等の特定の地域や小児科・産科等の特定の診療科における医師偏在による医師不足が大きな課題となっており、各都道府県には医療対策協議会があり、都道府県、大学病院や公的医療機関などが参加して、医師の派遣体制、医学部入学の地域枠、あるいは医療機能の集約化・重点化といった議論をした上で、様々な取り組みを行なっていくこととなる。
 また、医師確保の関係では厚生労働省のほかに、自治体病院を担当する総務省と大学病院を担当する文部科学省による地域医療に関する関係省庁連絡会議において、昨年の8月に医師確保総合対策を取りまとめている。本シンポジウムにおいては、医療提供体制の改革に関する厚生労働省の取組を紹介するとともに、今後の医療提供のあり方について議論したい。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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