日本農村医学会学術総会抄録集
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第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2E16
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一般演題
円滑な透析導入のための情報提供への取り組み
久和田 瑞穂今中 喜美子村中 好美串畑 重行
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キーワード: 情報提供
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抄録

<はじめに>慢性腎不全保存期患者の多くは医師から透析についての情報提供がなされているが、患者の理解が十分に得られているとはいいがたい状況である。このため透析導入にあたって患者の意思決定及び治療への参画は十分とはいえないのが現状である。当院においては、主治医より指示のあった時点で透析担当病棟の看護師が情報提供にあたっており、情報提供のシステムは機能しているが、内容においての統一は十分ではなかった。今回、現状での問題を解決するための情報提供のツールとしてライフシュミレーションを作成し、活用を開始するにいたったので報告をする。
<現状>当院では透析の導入が近くなった保存期患者に対し、医師が透析の必要性と血液透析および腹膜透析の2種類の透析方法があることを伝える。その上で病棟スタッフによって治療方法の違いや双方のメリット及びデメリットについて時間をかけて説明し、さらに血液透析と腹膜透析の見学の機会を提供する。その後患者自身により透析方法を選択させるシステムをとっている。このシステム開始以後2年が経過し、血液透析・腹膜透析の導入比率はほぼ1対1である。しかしながら担当スタッフによる透析方法の説明時のデバイスの選択(ビデオあるいはパンフレット)はそれぞれに任されていたため説明の内容に若干の差が出ることがあった。説明内容が統一できれば導入以後の教育においても順調に経過すると考え、統一ツールの作成、検討に至った。
<結語>患者と家族による治療法の選択がなされる事が、その後のスムーズな透析治療の展開に繋がることとなる。また選択においての情報提供は不可欠であるが、患者(家族)の依存度の高い腹膜透析が増えている点は本システムの効果と考える。また、患者及び家族と医療スタッフ間で情報を共有し信頼を確立するためには統一された説明用デバイスが必要であり、今回のライフシュミレーションの作成と活用は効果的と考えている。また、地域医療支援病院である当院の役割として、認知度が十分といえない腹膜透析についての情報も提供しながら、地域の腎不全における医療・看護の水準を向上させるため取り組みが必要であり、今回の取り組みはホームページを活用し地域で共有することを考えている。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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