日本農村医学会学術総会抄録集
Online ISSN : 1880-1730
Print ISSN : 1880-1749
ISSN-L : 1880-1730
第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2E30
会議情報

一般演題
当院における救命救急センターの現状把握と地域の3次救急病院としての役割を考える
廣瀬 有紀岡田 恵理子野嶋 洋子山田 賢一鈴木 雅恵神谷 須磨子
著者情報
キーワード: 救命救急, 救急, 体制
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

<はじめに>当院は平成14年5月に移転後、西三河南部医療圏の3次救急病院として、重篤な救急患者に高度な医療を総合的に提供できるよう活動を開始した。
 開設5年目となるが、現在までの患者数及び救急車台数の把握は行ってきた。しかし、3次救急の患者数の把握は行えていなかった。そこで、昼間救急を対象とし1次から3次の重症度別患者数の把握と3次救急の中からCPAに焦点を絞り症例数の把握を行った。
 それをもとに当院における3次救急としての役割を看護師の視点から考えたので報告する。
<目的>3次救急としての役割を果たす使命があるため、病院として正確な3次救急患者数を把握しておく必要がある。その上で、3次救急病院としての役割を再認識する必要があると考えた。
<方法>私たち救命センター専任看護師の勤務する昼間救急における1次から3次の重症度別患者数の把握と、3次救急の中からCPAに焦点を絞り症例数の把握を行った。更に、3次救急の受け入れ体制を検討した。
<結果>移転直後平成13年度月平均来院者数2451人が平成16年度には3510人まで増加、救急車来院者数も平成13年度月平均413人から平成16年度には558人までに増加した。2005年4月から12月までの1次から3次の各割合は、1次が51%から66%、2次が31%から43%、3次が2%から8.5%であった。更に、CPA症例数は平成17年1月1日から12月31日までの1年間で当院に搬送されたCPA症例は113例であった。
<考察>3次の患者数は、1割にも満たずCPAのみでも113例である。CPAのみを捉えると数値としての増加は、移転前と比較して大きく差はない。一般的に3次救急病院として求められることは、 重篤な救急患者を、常に必ず受け入れることができる診療体制をとること・ICU、CCUを備え、24時間体制で重篤な患者に対し高度な治療が可能なこと・医療従事者に対し、必要な研修を行うことなどがある。しかし、重症度別数値より1次2次救急が9割以上を占めている。西三河南部医療圏の地域性や近隣病院の受け入れ状況の影響もあると考えられる。地域から求められる病院の役割として、1次2次救急の役割を果たしつつ、1割にも満たないが3次救急に対応できる救命救急センターとして使命を果たすことが求められていると考える。
<まとめ>3次救急としての役割を果たす使命があるため、病院として正確な3次救急患者数と症例を把握しておく必要がある。地域性を考慮しつつ、1次2次救急を受けながらも、3次救急病院として重篤な救急患者に対し初期対応が行える必要がある。今後は、救命救急センター常駐者だけでなく、応援スタッフの教育・指導を行っていく必要があると考える。

著者関連情報
© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top