日本農村医学会学術総会抄録集
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第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2E31
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一般演題
震災マニュアルの見直しを行って
工藤 文枝高橋 優子永瀬 絵美中村 真衣子池田 千穂佐藤 文子成田 雪美
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キーワード: 意識づけ, 教育
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抄録

〈緒言〉 当病棟は、腎臓内科、糖尿病代謝科眼科、皮膚科の混合病棟である。病棟内には透析設備のある病室(以下透析部屋とする)があり、そこで重症患者や移送困難な入院患者が週3回透析を受けている。歩行可能な患者は院内にある腎臓病センターで透析を行っている。当病棟ではH14年に災害マニュアルが作成されていたが、内容は火災中心であった。また看護体制の違いから、透析部屋の対応が盛り込まれておらず、震災が発生した場合、以前のマニュアルでは迅速に行動できないと考えた。そこで今回震災に着目しマニュアルを作成、それを基に学習会、デモンストレーションを実施、評価したので報告する。
〈方法〉期間:H17年9月1日から11月30日対象:病棟看護師23名、看護助手2名
〈方法〉
 1.ビデオ学習後、震災に対する意識調査
 (一部記述式回答)
 2.震災マニュアルの作成
 3.マニュアルの学習会、透析離脱方法のデモンストレーション、実施後のアンケート調査
〈結果〉 震災に対する意識調査では、「震災時何が一番不安か」では、患者の搬送方法、どのように動いたらよいかわからないなどの意見が聞かれた。「震災時の透析対処方法をしっているか」では知らないが56%だった。「病棟独自のマニュアルは必要か」では全員が必要であるとの回答でマニュアルに基づいた避難訓練の実施を希望していた。その後、意識調査の結果を基にマニュアルの見直しを行い、震災発生時の個々の役割、行動を明確にするため看護師7名(Aチーム3名、Bチーム3名、透析係1名)、助手2名の日勤体制での組織図を作成した。また、これらがイメージ出来るよう組織図を基にした学習会と透析中の離脱方法のデモンストレーションを行った。学習会とデモンストレーションを行った後のアンケート結果では、学習会を行ったことで自分の役割や行動をイメージできたという意見が91%だった。「透析の緊急離脱方法について理解できたか」では全員が「はい」だった。また、意識調査の結果を基に、患者様に対する備えとして、8項目を挙げてマニュアルに取り入れた。
 マニュアルを基に学習会、デモンストレーションを行ったことは、個々の役割を具体的にイメージすることに繋がった。また、透析離脱のデモンストレーションを行うことで震災時の対応について知識の統一化が図れ、効率的に行動出来ると考える。更に、災害発生時迅速に対応するためには、定期的な避難訓練、災害に対するスタッフ、患者への教育が必要であるという結果に繋がった。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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