日本農村医学会学術総会抄録集
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第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2F04
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一般演題
市販の口中清涼剤を用いたMRI用皮膚マーカーの検討
伊藤 良剛今尾 仁榊原 克冶遠藤 慎士光岡 孝
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抄録

〈緒言〉従来、MRIで皮下腫瘤などの検査の際に病変部位の目印として、皮膚面にアダラートをマーカーとして貼り付けていた。ところが検査後のはがし忘れによる誤飲の可能性や、薬剤の管理面などで問題があった。そこで我々は、新たな皮膚マーカーとして、安価で容易に入手が可能な市販の口中清涼剤を使用し、アダラートや他の皮膚マーカーを比較して、その有用性を確認したので報告する。
〈使用機器・材料〉MRI装置:GE社製 Signa Horizon LX 1.5T皮膚マーカー(合計4種類)
 1.口中清涼剤(小林製薬:商品名;ブレスケア)
 2.アダラート(バイエル薬品)
 3.硫酸銅水溶液 10mmol/l、
 4.ベビーオイル(ピジョン社製)、
人体模擬ファントム:皮付き豚ばら肉
〈方法〉
 実験1:各パルスシーケンス(FSE法のT1強調、T2強調、T1強調脂肪抑制画像)における各皮膚マーカーの信号強度を測定し、比較検討した。
 実験2:皮付き豚ばら肉を用いた人体模擬ファントム上に各皮膚マーカーを並べ、撮像した。そして皮膚マーカーからのアーチファクトの有無を調べた。
〈結果〉
 実験1:測定結果を表1に示す。T1強調画像では、すべての皮膚マーカーは高信号を呈した。T2強調画像では口中清涼剤は高信号であったが、アダラートが他の皮膚マーカーより信号が低かった。脂肪抑制では口中清涼剤の信号が低下し、ベビーオイルは無信号となった。
 実験2:口中清涼剤を含め、全ての皮膚マーカーからのアーチファクトは観察されなかった。しかし実験1と比較して、皮膚マーカーのコントラストが異なった。この原因は、チューニング(シミング)時の中心周波数の違いによる影響であった。(図1)
〈まとめ〉口中清涼剤は、皮膚マーカーとして十分な信号強度を呈した。その理由は多くの脂質と金属化合物(アルミニウムレーキ)が含まれているためと考えられた。安全性とコストの面では、口中清涼剤は他の皮膚マーカーより優れていた。これらの点から口中清涼剤はMRI用皮膚マーカーとして有用と考えられた。しかしサイズがやや小さいため(小豆大)、その使用の際には工夫が必要であった。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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