日本農村医学会学術総会抄録集
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第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2F06
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一般演題
臨床現場で真に有用な3D立体画像構築技術
-東芝画論コンテスト受賞画像の紹介-
海津 元樹平松 明樹石井 真小宮山 レイコ安西 里奈稲葉 光昭島倉 誠宮崎 勝吉佐々木 隆昭服部 晃
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抄録

<緒言> 当院では2001年9月よりCT MRI画像の立体3D画像を作成出来るワークステーションコンピューターZIO-M900(アミン_(株)_)が導入となり、臨床応用が始まった。当初は経験者が極端に少なく、試行錯誤であったが、臨床側の強い要望と画像診断科医の適切なアドバイスにより、画像作成技術の向上が図られた。また、全国各地の施設から応募され、真に臨床的に有用な撮影技術・画像作成技術を評価する目的で本邦において唯一行われている医療画像コンテスト「東芝画論」に当時から毎年応募し、2002年からCTは連続4回、MRIは2回受賞している。今回はこの6症例の入賞画像から特に臨床的に有用であったと思われる3画像の撮影および画像作成技術を提示する。
<画像表示>
(症例1)図1 肺動脈血栓症 症例は30歳代男性。循環器内科から肺動脈血栓の疑いでCT検査施行。肺動脈の血管の透亮化と血管内に存在する血栓を充実性に表現する手法を独自に開発し、3D画像作成を行ったところ、本疾患の病態把握が容易となり、治療前後の比較にも有用であった。
(症例2)図2 膵癒合不全 症例は50歳代男性。膵管造影で体部での途絶を認め、消化器内科よりMRI(MRCP)精査を依頼された。主膵管と副膵管の非癒合が証明され、技術的に困難な内視鏡的副乳頭造影をせずに確定診断が可能となった。
(症例3)図3 晩期残存乳歯・未萌出永久歯および顎骨内嚢胞 症例は小児女性。パノラマX線写真で第二小臼歯埋没および顎骨嚢胞性病変を認め、手術依頼目的で当院歯科口腔外科を紹介され、CT撮影を依頼された。3D画像を作成したところ病巣と下顎管の位置関係が立体的に把握でき、術前情報として有用であった。
<結語> CT MRIの撮影画像データを応用した3D画像は、我々画像検査・診断にかかわる医療従事者が想像する以上に、臨床各科からの期待が大きく、疾患の形態学的な把握に重要な役割を果たす。しかし、臨床側から要望する情報と、撮影データ、3D作成の表示方法がうまく一致しないと折角の努力が半減することもしばしば経験する。また、画像作成には高度の病態知識や相当な時間と労力が必要となり、臨床側の要望に十分応えられていない施設が多いのもまた事実である。当院では、臨床医が必要とする情報のポイントを技師が検査前に把握し、撮影時にその描出が明確に出来るデータ収集(撮影方法)を心掛け、画像作成時には依頼医師および画像診断医の適切なアドバイスを元に真の病態をわかりやすく表現した立体画像の提供を行っている。このような方法で画像を作成すると、依頼医はもちろん、患者本人への説明にもそのまま利用でき、患者自身の病態の把握や理解にも役立つ。今後もさらなる技術向上を維持し、作成者の自己満足のみの画像ではなく、真に依頼医の要望を満たした立体画像作成を心掛けたいと考えている。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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