日本農村医学会学術総会抄録集
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第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2F07
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デジタルラジオグラフィー装置における透視DCF(デジタル補償フィルタ処理)の有用性の検討
山田 泰司菅原 司岡崎 真悟中村 俊一永井 信近藤 規央藤永 明
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抄録

<緒言>昨今、消化管X線撮影の領域においてもデジタル化(Digital Radiography)の波は押し寄せており、イメージインテンシファイア(I.I.)からの情報をテレビカメラで映像化していた部分をデジタル変換する方式や更に最近では平面検出器(Flat Panel Detector)を用いてデジタル変換する方式を搭載した装置の導入が増えつつある。
 消化管X線画像はX線自体の性質の故、肺野や腸管のガスといった透過しやすい部分に重なると黒くつぶれ、椎体と重複、体厚の影響といった透過しづらい部分では白くつぶれる傾向があり、このような状況下で小さな病変をモニターやフィルム上で表現することは従来のアナログ方式でも難しく、最近までデジタル化が入り込めなかった大きな壁の一つであった。しかしデジタル変換装置やコンピューターの演算能力等の飛躍的な向上により上記の弱点がかなり克服され、その利点を生かせば、従来のアナログの画質と同等もしくはそれを凌ぐという機器の報告も散見されてきた。
 DRの利点の一つとして、現像を待たなくても撮影とほぼ同時に画像を観察できたり、画像処理を施すことによりコントラスト、濃度等を簡単に調整できることがあげられる。
 今回、当院で導入したDR装置の新しい画像処理技術、Digital Compensation Filter(以下DCF)は、入力光が多くて画像が部分的に黒つぶれしている場所のみを自動で検出し、その場所のみに画像処理を施し、画像全体のコントラストを変えることなく、高濃度部の表現力を向上させることが可能となった。さらに最新の技術では、このDCFを透視画像にリアルタイムで施すことが可能となったため、従来のような透視中のハレーションが激減し、透視診断に大きく寄与しているといわれている。
 消化管X線撮影における透視観察の重要性は昔から叫ばれているところである。とくに我々技師が携わる胃・大腸をはじめとするX線検査では、透視の段階で病変の有無を判断することを至上としているので、透視の画質は当然被曝の影響を考えながらではあるが、向上させたいところである。
 そこで今回我々は、より多くの病変を透視下で発見、確認できるような透視画像の向上を目的に、透視DCFの評価を基礎的、臨床的に行い今後の検討を行ったので報告する。
<方法>検討方法としては、低コントラスト分解能、高分解能測定用のファントムの描出能について、アクリルファントムの厚さ、ハレーションの程度を可変させた状態で透視DCF(5チャンネル)の効果を目視で評価した。また臨床評価においては基礎評価を参考に、どうような時と場合において透視DCFが有用なのかを検証した。
<使用機器>画像処理装置:東芝社製ADR-1000A(1024×1024マトリクスCCDカメラ搭載)。 透視撮影台:DBX-6000A。透視DCFユニット:FDCF-1000A。分解能ファントム:PTW-FREIBURG社製X-Check FLU。
<結果>当院では、すでに透視及び撮影DCFについては臨床上有効と判断して現在使用中ですが、更に詳細につきましては当日報告させていただきます。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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