日本農村医学会学術総会抄録集
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第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2F14
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一般演題
電子カルテを使った新生児センター業務支援システム追加導入の概要
片山 訓道加藤 有一川野 衣代角谷 礼子畠山 まき子
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抄録

<はじめに>当院は平成14年5月の新築移転を機に電子カルテシステムを導入して4年が経過した。
 この間、レスポンスアップ、機能修正、マスタ調整などにより順調に稼働してきた。
 今回、新生児センター(以下NICU)を中心とする重症患者に対する機能追加を図ったのでその概要に関して報告する。
<NICU業務の問題点>NICUでは、移転以後出産数の増加、未熟児の搬送増加により、当初予定されたベッド数をはるかに上回る数の新生児を抱え、医師が短時間に多くの情報を収集できるような情報用紙を看護師で作成し診療支援を行ってきた。しかし、これは看護業務を圧迫する原因の一因となり、現場で働くスタッフからはシステムの再構築を望む声が多く、平成16年12月よりシステム変更に関する検討を始めた。
<システムに関する課題>当初、バイタルなどの情報は電子カルテとME機器が連携されていなかったため、手入力で行っており、入力が数時間遅れになることがしばしばあった。また、新生児フローシートには多くの情報がありすぎて把握しづらいという問題も指摘された。これらの問題を解決し、業務の効率化と安全面、さらに生体モニタの情報収集等、診療情報の充実も視野に入れたシステムの見直しの方向性を検討会で確認した。
 具体的な手段として、生体モニタメーカなどが提供する部門システムを導入する案と、電子カルテを改造して機能充実させる案が出されたが、すでに電子カルテが安定稼働しており大きく運用変更しない方がよいとの判断と、情報を一元的に扱えるメリットを優先した結果電子カルテを改造して機能追加する方針が打ち出された。
<機能追加要望内容>医師、看護師の業務を洗い出し、システム化する点を以下のようにまとめた。
1.医師回診用テンプレートに情報を自動収集
2.フローシートのレスポンスアップと生体モニタ情報の自動記録
3.患者の状態を把握できるトレンド情報(24時間のトレンド変動)を表示
4.成長曲線の自動作成
5.輸液のカロリー計算機能、摂取成分量が把握できる機能
6.生体モニタとWeb連携し、リアルタイムに生体情報を参照できる機能
7.カンファレンス用情報の収集機能
<結語>院内どこにいても、患者状況の把握ができ、カルテの判読が容易であることが電子カルテの最大のメリットである。今回の機能追加によりICU、CCUを含めた重症病棟の生体モニタ表示が可能となった。また、増え続ける臨床情報を整理して判読できるようにフローシート機能を全面的に見直し、高速化に加えユーザー毎に項目の表示・非表示、表示順などの登録を可能する仕様にした。さらに安全性への配慮という点ではNICU注射機能などの専用機能を追加した。
 電子カルテは、安全に医療を行うためのツールとして一層完成度を高め、急性期医療においても紙カルテで成し得なかった様々な機能を備えた不可欠なツールになりつつある。
 今回の発表ではこれらのシステム改造に対する効果と今後の課題について報告する。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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