日本農村医学会学術総会抄録集
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第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2F13
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一般演題
電子カルテシステム導入後4年間の経過と現状について
田實 直也片山 訓道久保田 敏行長砂 達明川野 衣代石川 一博
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抄録

<はじめに>当院に電子カルテシステムが導入されて早や4年が経過した。導入当初は職員の大半がコンピューター未経験であったが、最近では紙カルテを知らない職員が、紙カルテ時代を知っている職員の数を越す勢いである。
今回は、導入した電子カルテシステムの4年間の大まかな経緯と発生した諸問題、そして解決方法を報告するとともに、今後の展開を検証する。(解決方法等については、紙面の関係上当日スライドにて報告する。)
<初期のトラブル>導入初期に問題となった点において、特筆すべきものを選択して報告する。
・辞書変換の不具合
 導入当初、漢字辞書変換が思い通りに出来なく、診療遅延の原因となった。
・レスポンス
 カルテを開く時間が予想以上にかかり、利用者にストレスを与える要因となった。
・故障端末の対応方法
 故障端末をすばやく修理し、現場に戻す必要があった。
・基幹ネットワークの障害
 基幹ネットワークで原因不明の故障が相次いだ。
<アンケート評価>導入したシステムに対し、評価の意味を兼ねてアンケート調査を行った。実施時期は導入後1年を経過した2003年に実施した。概ね高評価を得たが、画一的なシステム構成による不満も多少見受けられた。
<新たな問題点>4年を経過すると医療情勢にも変化があり、現状のシステムでは対応できないことも表れる。日進月歩のIT分野では5、6年が機器更新のサイクルであり、現実的にも老朽化や領域不足といった問題が表れている。今回は当院における現状の問題点の一部を簡潔に報告する。
・化学療法におけるチェック機能の要望
医療安全の観点から、化学療法においてはレジメンとして管理し、上限量や休薬期間チェックなどをシステム的に行う必要性が表れている。
・DPCの対応
急性期病院の宿命として、DPCへ対応する必要が迫られている。
・レセ電算の対応
電子カルテ構築時には、時期尚早として見送られたが、普及率が高まっている現在では、早急に対応すべき項目である。
・容量不足の対応(イメージ領域)
医療情勢の変化により、同意書を必要とする機会が近年激増した。また、稼動後にスキャナ読込みの画質保持のため、解像度を上げた。これらにより、イメージ領域が想定の6年より早く枯渇する恐れが表れた。
<今後の展開・方向性>上記問題を解決する方法としては、ハード増強とソフトのバージョンアップが考えられる。しかしながら、単に増強やアップを行うのではなく、今後は医療機器との接続による生体情報の自動書き込み(当院では一部実施済み)を構築したり、e-文書法に対応できるような画質を保持できるイメージ領域の確保などを検討することが必要と考える。これらにあわせ、以前から言われているレスポンス、使い勝手、安全面を考慮したシステム構築が今後の課題となり、我々が目指すべき医療情報システムといえるであろう。(当院は平成20年バージョンアップ予定)

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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