日本農村医学会学術総会抄録集
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第56回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2D05
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一般演題
エマルゴトレーニングシステムを用いた災害訓練の実践報告
島津 加奈子日下 果林馬場崎 貴美子
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抄録

【はじめに】 当院は災害拠点病院に指定されている。しかし、災害医療・看護の重要性を認識しながら、看護職員に対する教育は確立されていないのが現状である。高橋1)は「災害は予測が難しく、いつでも、どこでも発生の可能性がある」と述べているように、災害医療には想像を越えることがあり得る。さらに平成19年度には、集団医療救護訓練を控えており、集団災害発生時に有効な災害拠点病院の役割が果たせるよう、院内教育が必要である。そこで、あらゆる災害種や場面を想定した応用のシミュレーションを繰り返し行うことができる、エマルゴトレーニングシステム(以下エマルゴと略す)を使用した訓練が適していると考え取り入れ実施した。その経過を報告する。 【目的】 1. エマルゴを使用した訓練の効果を検討する 2. 救急外来看護師が災害看護教育についての現状を振り返り、今後の教育活動を明らかにする 【対象と方法】 外来看護師15名を対象に以下の内容を実施 1. 知識の伝達:資料を作成し配布、伝達学習を行う ・ 災害拠点病院の役割 ・ 災害の種類 ・ トリアージの概念、トリアージの方法、トリアージタッグの使用方法 ・ 救急外来で作成した「災害時活動マニュアル」 ・ 災害時の看護師の役割 ・ エマルゴトレーニングシステム 2. エマルゴを用いたシミュレーション学習 ・ 医師によるトリアージ演習 ・ 集団災害発生時の看護師の動きについて(トリアージエリア、人員配置、患者の流れ) 実施後アンケート調査し評価する 【結果・考察】 目的1に対して、外来看護師が災害についてどのように考えているかを知るために、外来看護師に対する事前のアンケート調査では_丸1_災害拠点病院の役割を理解している(26.2%)_丸2_災害時の自分の役割を知っている(20%)と災害に関する知識が不十分であった。その後のアンケート調査より、伝達学習後は_丸1__丸2_とも(100%)となった。  目的2に対しては方法2のエマルゴを行った。エマルゴを使用した机上シミュレーションによる実施訓練は予測性の裏付けとなる。エマルゴ実施後のアンケートより_丸1_災害時の活動についてイメージができた(92.3%)_丸2_災害時の活動を実践できる(23%)どちらとも言えない(69.2%)_丸3_災害看護学習は必要である(100%)であった。  以上の事から目的1については、エマルゴを使用した訓練を行うことで、災害医療の重要性をアピールでき災害救護活動のイメージ化につながったと考えられる。また、技術を習得するだけでなく計画・実施・評価に至る過程の経験から、災害看護の必要性の意識づけもできたと考えられる。  目的2については外来看護師から、実際の災害時に自分が動けるか不安、思っていたよりとても大変だった、もう少しトレーニングが必要だと思う、などの意見があり、災害教育・訓練の継続が必要であると考えられる。 【今後の課題】 ・ より効果的な災害救護訓練の実施に向けて、専門的な評価を受ける ・ 看護職を対象とした継続した災害教育プログラム内容と教育方針の検討を行う

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© 2007 一般社団法人 日本農村医学会
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