日本農村医学会学術総会抄録集
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第56回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2F404
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一般演題
大腿骨頚部骨折術後のリハビリ継続の検討
~15分間の集団リハビリの効果~
寺田 恵山田 晶子山口 奈津江大矢 みどり北山 健治小口 武
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抄録

〔諸言〕高齢化社会に伴い高齢者の大腿骨頚部骨折患者は増加している。寝たきりになりやすい外傷として重要視され、リハビリテーション(以下リハビリとする)領域でも効率的な治療の為さまざまな取り組みが行われてきている。しかし、急性期病院では、手術や処置・緊急入院などに追われてリハビリを継続して行えず、看護スタッフにおいても経験や知識の差から病棟でのリハビリ方法にも継続性がもてない現状である。そこで、急性期病院の限られた時間の中でも継続して行える集団リハビリを15分追加することを試みることで早期離床・早期歩行における効果を検討した。
〔方法〕研究期間 平成17年7月~平成18年9月末日 大腿骨転子部骨折36名、大腿骨頚部内側骨折12名、計48名を対象とした。
集団リハビリは術後2日目から開始とし、休日も含め開始時間は16時40分から毎日行った。
(1)日替わりリーダーが朝、各チーム1名ずつ集まりリハビリの担当スタッフを決める。(通常3名、対象人数によって増減する)
(2)担当スタッフが対象者を車椅子移乗させスタッフステーション周囲の廊下に集める。
(3)手すりを使用しての立ち上がり(10回)・立位保持(10秒)訓練を5分間実施する。
(4)歩行訓練を実施。(10分間)安全面も考えスタッフが横に付き添いながら行う。
A群を通常リハビリ群 B群を通常リハビリ+集団リハビリ介入群、とした。立位保持が出来た日、立ち上がりが出来た日、5m歩行が出来た日とし、担当の理学療法士が評価した。統計処理はt検定とΧ2検定で行った。
〔結果〕A群4.4日に対しB群は2.8日と有意に短縮された。立位保持が出来た日の平均はA群3.9日、B群2.9日で有意差は得られなかったもののB群の方が短い傾向にあった。3日以内に5m歩行が達成できた割合の比較では、A群では15%で、B群では36%の結果となった。理学療法士による1日1単位20分間のリハビリに加え、看護師による15分間の集団リハビリで早期離床が図られ、急性期病院の限られた時間の中でも継続して行える15分間の集団リハビリは効果があった。さらに、集団でリハビリを行った事で患者同士励ましあう姿がみられ、家族もリハビリに積極的に参加する姿が見られた。高齢者のリハビリにおいては、集団で行ったことで対象者が励ましえた事、家族の励ましや在宅への自信につながるきっかけとなることで、より効果を得られたのではないだろうか。スタッフの意見としては、患者のADLの把握やADLが拡大するのをみることはやりがいにつながった事や簡単で安全なリハビリ方法の統一が出来、個別に実施する際にも参考となり、指導に差が見られず展開できるようになった事があげられた。問題点としては、担当スタッフが時間に集合できず時間外で行う事や対象患者の人数に応じて看護スタッフが増える事で休日に行う困難さもあった。理学療法士による1日1単位20分間のリハビリに加え、短時間でも集団リハビリを追加することで、急性期病院におけるリハビリの継続を実施することが出来、早期離床・歩行に有効な結果を得ることができた。

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© 2007 一般社団法人 日本農村医学会
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