抄録
当院における急性期NPPVと臨床工学技士の対応
【はじめに】近年、非侵襲的陽圧換気(以下NPPV)は、慢性期呼吸不全に対する換気
補助療法に留まらず、急性期の呼吸不全に対してもその有効性が認められている。当
院では急性期NPPV装着患者数の増加に伴い、NPPV専用装置の導入、その操作・管理に
関する業務も臨床工学技士の業務として新たに加わっている。今回、当院における過
去8年間の急性期NPPV装着患者数の推移から原疾患名、使用場所などの使用状況に加
え、それに対する臨床工学科の対応について検討したので報告する。【対象・方法】
調査期間は2000年から2007年までの過去8年間であり、当院における急性
期NPPV装着患者数の推移から、その期間中のNPPV専用装置の使用状況、また装置運用
・物品管理などを含むNPPV業務に対する当科の対応の変移についてまとめた。【結果
】 急性期NPPV装着患者数は年々増加傾向を示し、2007年には40例に達した。
使用状況は、従来の呼吸器科に加え、循環器科での装着患者数が著しく増加しており
、ICUでの使用例も増加していた。装置管理に関しては、症例数の増加に対応すべく
、他の人工呼吸装置と同様に中央管理を行い、装置の点検・貸出・返却と一連の流れ
を作り、更にマスクをはじめとする物品管理に関しても中央管理とし、専用のマスク
カートを作成するなどの管理体制の構築・工夫を行なった。【まとめ】 当院の急性
期NPPV装着患者数は8年間で飛躍的に向上した。これは様々な病態に対するNPPVの有
効性が示されたことに加え、当院でのNPPVに対する認識が高まったことが要因と考え
られる。また使用場所が限局される傾向にあったが、当科における中央管理化の実施
により当院でも各科で広く使用され、活躍の場が広がった一因になったのではないか
と考えられる。今後も増加する可能性があるNPPV症例に対応すべく、チーム医療の確
立が必須であり、その中で我々臨床工学技士のNPPV業務の確立が望まれる。