〈はじめに〉
ラテックスアレルギーは手術室でおこるアナフィラキシーショックの原因の一つである。これまでにラテックスアレルギー疑い患者の手術を受けることがあったが、患者受け入れ時に円滑な対応ができていない状況だった。また、ラテックスアレルギーに対しての知識も様々であった。そこで、ラテックスアレルギー疑い患者受け入れ対応マニュアルを作成し、手術室看護師に勉強会を行うことで理解出来るか調査したのでここに報告する。
〈方法〉
1.期間:平成19年6月から平成20年3月
2.対象:手術室看護師32名
3.実施方法
1)マニュアル作成、勉強会の実施
2)マニュアル作成前にラテックスアレルギーに対する質問紙調査
3)マニュアル作成後に正誤式によるプレテストの実施
_丸1_ラテックスアレルギーの基礎知識(病態生理・症状・ハイリスクグループ)6問
_丸2_受け入れ時の対応方法・行動6問
〈結果・考察〉
マニュアルは病態生理・症状・ハイリスクグループ・実際の受け入れ時の対応についての内容で作成し、受け入れ時の対応についてはラテックスフリー製品物品、アレルギー疑い有無の確認方法、部屋の準備方法を詳細に明記し1冊のファイルに作成した。その後、マニュアルの内容を看護師に説明し、1ヶ月間ファイルを掲示した。
マニュアル作成前の質問紙調査の回収率は30人(90%)であった。「ラテックスアレルギーを知っていますか」の質問では、知っている27名(90%)知らない3名(10%)であった。知っていると答えた27名に対して「どの程度知っていますか」の質問をした際、病態生理・症状・対応策について知っている7名(26%)疾患名は聞いたことあるが詳しくは知らない20名(74%)であった。
プレテストは、マニュアルを参照可として対象者に実施してもらい、後日回収した。プレテストの回収率は24名(75%)であり、基礎知識についての問題では、全問正解した人は17名(71%)であり、1問間違った人6名(25%)、2問間違った人1名(4%)であった。受け入れ時の対応方法・行動についての問題では、全問正解した人は2名(8%)であり、1問間違った人11名(46%)2問間違った人9名(38%)3問間違った人2名(8%)であった。
質問紙調査からラテックスアレルギーに対して具体的に理解している人が少なかったが、マニュアル作成後、基礎知識については全問正解した看護師が約70%を占めており、理解できていた。しかし、実際の受け入れ時の対応方法・行動については全問正解できた看護師が約10%と少なく、ほとんどの看護師がマニュアルの内容を把握できていなかった。マニュアル作成後の勉強会は対象者全員に実施できず、掲示したマニュアルの内容だけで学習した看護師もいたため、実際の受け入れ時の対応方法・行動について把握しきれず理解ができなかったと考える。今後、さらに理解を深めていくには、勉強会の継続、マニュアル内容の見直しが必要である。また、実際の受け入れ時の対応方法・行動を慌てず円滑に実施していくためにも、イメージトレーニングができるようシミュレーション体験を教育に取り組む必要があると考える。