日本農村医学会学術総会抄録集
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第57回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1F007
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一般講演
当院脳ドックにおけるMRIの役割
楳田 雄大後藤 博中西 茂樹鷹津 久登田中 孜
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抄録

【はじめに】脳ドックは、無症状の人を対象に、無症候あるいは未発症の脳および脳血管疾患あるいはその危険因子を発見し、それらの発症あるいは進行を防止しようとするものである。発見の対象は、無症候性脳梗塞、未破裂性脳動脈瘤、頭頚部血管閉塞・狭窄、無症候性脳腫瘍および腫瘍様病変などがある。近年、認知症への関心が高まり当院においても脳ドック検査項目に心理テストも行なっている。また、早期アルツハイマー型痴呆診断支援システムとして、MRIで撮像された3DT1強調画像から海馬の萎縮程度を数値解析するソフトウェア(Voxel-Based Specific Regional Analysis System for Alzheimer’s Disease以下VSRAD)が松田博史らにより開発されたことにより、認知症診断の一助となっている。そこで今回、当院脳ドックにおけるMRI検査について報告する。 【使用MRI装置】PHILIPS社製 Intera Achiva Nova 1.5T 【撮像プロトコール】T2強調横断像・T1強調横断像・FLAIR横断像・DWI横断像・T2強調矢状断像・T2強調冠状断像・頭頚部MRA・(3DT1強調矢状断像:VSRAD用) 【要旨】当院脳ドックにおいて、現在MRI、MRA、頸動脈エコー、心電図、血液検査、胸部X線撮影、心理テスト、診察を一連の検査としている。平成19年7月よりVSRADが可能となった。VSRADは早期アルツハイマー型認知症に特徴的に見られる海馬傍回付近の萎縮の程度(関心領域における正のZスコアの平均値)を自動解析して表示するソフトウェアである。同ソフトは、50歳以上の被験者が対象で、明確な脳梗塞のみられる画像や顎が上がって撮像された画像では正常に解析ができないとされている。無症状の人を対象にした脳ドックにおいて梗塞巣による解析エラーは少ないが、受診者の年齢が50歳未満の方も少なくなく、全員に検査可能ではない。その為、現在50歳以上を対象に試験的に検査を行なっている。 【まとめ】MRI、MRAによる画像検査を主体とする一連の検査により、無症候あるいは未発症の脳および脳血管疾患の早期発見が脳ドックの普及に至っている。VSRADは現在すべての受診者に可能ではないが、国民の関心の高い認知症の診断の一助となり、予防医学の脳ドックにおいて有

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© 2008 一般社団法人 日本農村医学会
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