日本農村医学会学術総会抄録集
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第58回日本農村医学会学術総会
セッションID: 17-11
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ビスフォスフォネート系薬剤に関連した顎骨骨髄炎・骨髄壊死に関する臨床的検討
兼子 隆次岩本 哲也岡部 一登小澤 亮太郎
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抄録

ビスフォスフォネート系薬剤(以下BP 製剤)は悪性腫 瘍の高カルシウム血症や固形腫瘍の骨転移に関連する治療 に使用され有効である。また,その経口薬は骨粗鬆症の治 療薬として頻用されている。一方,BP 製剤による顎骨壊 死が2003年にアメリカで報告されて以来にわかに注目され つつある。わが国においても最近,BP 製剤によると思わ れる顎骨骨髄炎・骨髄壊死症例が散見されるようになって きた。今回,当科にてBP 製剤の副作用と思われる顎骨骨 髄炎・骨髄壊死症例について臨床的検討を行ったので報告 する。 症例は6例で,すべて女性であった。診断時の平均年齢 は69.7歳であった。当科における診断は顎骨骨髄炎4例, 顎骨骨壊死2例であった。疾患の発症契機は抜歯4例,義 歯性潰瘍1例,自然発症1例であった。BP 製剤を服用す るに至った原疾患は全例が骨粗鬆症であった。投与された BP 製剤はボナロン4例,アクトネル1例,ベネット1例 であった。BP 製剤の服用期間は9ヶ月~5年であった。 治療は全例でBP 製剤を中止するに至った。加えて,抗 生物質の内服と局所の洗浄1例,抗生物質の点滴投与と局 所の洗浄が3例,高気圧酸素療法の下に抗生物質の点滴投 与に加えて腐骨除去したものが2例であった。治療の経過 は1例を除いて治癒をみた。この1例は1年半後に症状の 再燃が確認され,現在も加療中である。 BP 製剤による顎骨の炎症は抜歯など口腔領域の観血処 置に起因するとされる。しかし今回のように自然発生的に 発症したものも確認され,必ずしも因果関係が一様ではな い。本剤は内科,整形外科,婦人科などさまざまな科から 処方されるため関連する担当医が充分に連携して情報を共 有する必要があると思われた。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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