日本農村医学会学術総会抄録集
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第58回日本農村医学会学術総会
セッションID: 17-20
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回復期リハビリテーションの意義と医療連携
-Pay for Performance(P4P)を踏まえて-
高松 道生北野 浩二前田 道宣中村 淳子柳澤 貴恵栗木 淳子久保田 裕一宮沢 正樹田村 治子西島 博
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抄録

 回復期リハビリテーション(以下,回復期リハ)病床の 増床に伴う,質向上に向けた取り組みの経験について報告 する。2008年10月からセンターの回復期リハ病床を44床増 床し,全体で267床,鹿教湯病院で233床の回復期リハ病床 を運営している。同時に質向上にも取り組み,1)療法士 の病棟専任化,2)「経過記録」への多職種経時記載によ る診療情報の一元化,3)多職種による合同入診とリハカ ンファレンスの実施,4)365日のリハ,を実現した。 昨今,急性期医療機関の機能確保という観点から当院に 紹介される回復期リハ対象患者の発症から入院までの期間 が短縮されつつあり,循環や呼吸などに問題を有する重症 例が増加している。その事は回復期リハ病院に亜急性期医 療機関としての機能を求めており,当院では神経・呼吸 器・消化器・循環器内科,整形外科,脳外科の臨床各科が 対応している。また,急性期医療機関と連携協定を結び, 連携パスに基づいた回復期リハを行うと同時に必要に応じ て重症化例の逆転院を行っている。 2008年度診療報酬改定において,わが国で初めて医療の 質的評価であるP4P(Pay for Performance)が回復期リ ハに導入された。在宅復帰率や身体機能の回復度などの結 果に基づいて診療報酬を区別する事は,Structure(施設, スタッフなど)やProcess(パスやガイドラインなど)の みでなく,Outcome(結果)が評価される時代の到来を 意味している。結果が全てではないが,患者にとって最も 重要な「転帰」を評価する試みは今後医療全体に関わる基 本的視点として重要である。また,急性期医療機関と亜急 性期医療機関としての機能を備えた回復期リハ病院の連携 は今後さらに緊密さが要求されるようになり,その事が急 性期医療機関での急性期リハビリテーションのあり方にも 影響を与えてゆくものと考えられる。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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