日本農村医学会学術総会抄録集
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第58回日本農村医学会学術総会
セッションID: WS1-3
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地域がん診療連携拠点病院において薬剤部が担う役割とは
中島 恵子礒貝 明彦井向 幹栄小川 智恵子只佐 正嗣藤堂 未来横山 聡大田 博子福田 康彦
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抄録

〈目的〉当院は2006年に地域がん診療連携拠点病院に認可
され,2008年4月に外来化学療法室を4床から10床に増
床,本格的に稼働を開始した。薬剤部は2007年がん化学療
法業務に参画以降,抗がん剤調製・レジメンの整備・薬歴
管理のみならず,院内の全がん化学療法業務における安全
管理システムを構築してきた。今回,インシデントレポー
トならびにプレアボイド報告を分析し当システムを検証す
る。
〈方法〉当院にて2006~2008の3年間に集積した全薬学的
インシデントレポートよりがん化学療法業務を抽出,5項
目に分類した。プレアボイド報告も同様にがん化学療法分
野のみ抽出,分析を行った。
〈結果〉抗がん剤調製時のインシデントは2006,2007,
2008年度で33,33,11%,薬剤部の全抗がん剤調製開始以
降,激減した。レジメン整備に伴い,2008年9月以降,医
師指示時のインシデントを0件,指示伝達時1件のみの発
生に抑えている。プレアボイドは,2009年度4月の遷延・
重篤化防止報告が1件,未然回避報告が8件,5月はそれ
ぞれ1件と6件,6月は0件と3件である。
〈考察〉2008年4月より薬剤部主導にて,月1回レジメン
審査,また,隔月に1回がん化学療法の運用についての会
議を開催している。診療科毎,医師毎に作成され全く管理
されていなかった全レジメンを臓器別に統一し,前投薬,
嘔吐リスク,プラチナ製剤投与時の水分負荷について院内
基準を取り決めた。加えて,がん化学療法データベースの
構築も開始,日常のがん化学療法業務全過程でのダブル
チェックを遂行している。当院の化学療法安全管理システ
ムは十二分に機能していると考える。
〈結語〉薬剤部は,日常業務において外来化学療法室看護
師とのミーティングを行い,外来化学療法月平均約250
件,入院化学療法約150件全てについてのきめ細かい薬歴
管理を行い,更に抗がん剤調製,文献検索,レジメン作
成・登録,データベース管理と多岐にわたる業務を通じ,
がん化学療法業務の事務局として安全管理の責任を担って
いる。現在,多職種での情報共有の実現に向け,院内イン
トラネットでの情報管理システムを更に構築中である。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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