日本農村医学会学術総会抄録集
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第58回日本農村医学会学術総会
セッションID: WS7-3
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早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の治療成績
向 克巳松崎 晋平佐瀬 友博岡野 宏斉藤 知規西村 晃浜田 正行林 昭伸馬場 洋一郎村田 哲也
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抄録

〈はじめに〉当院では早期胃癌に対するESD を2004年8
月より導入し,現在胃腫瘍性病変259例,食道腫瘍性病変
18例,大腸腫瘍性病変63例,十二指腸腫瘍性病変2例行っ
てきた。今回,当科においてESD を施行した早期胃癌症
例の治療成績を検討し報告する。
〈方法〉当科においてESD を施行した早期胃癌症例242
例(ガイドライン病変:2cm 以下UL(-)の分化型M
癌166病変,適応拡大病変:2cm をこえるUL(-)の分
化型M 癌50病変,3cm 以下UL(+)の分化型M 癌20
病変,3cm 以下の分化型SM1癌,5病変,2cm 以下
UL(-)の未分化型M 癌1病変)を検討した。
〈成績〉平均年齢78.3歳(47~92歳),一括切除率92.1%,
治癒切除率86.3%,平均切除標本径36.5mm(14~112
mm),平均病変長径16.4mm(1~96mm),平均治療時
間45.4分(9~240分),穿孔4例(1.7%),後出血6例
(2.7%)であった。治癒切除例のうち2cm をこえるUL
(-)の分化型M 癌で1例のみ局所再発を後日認め追加
手術を行ったが,他は現在のところ再発を認めていない。
非治癒切除例のうち,側方断端陽性で追加内視鏡治療行っ
た症例が5例,深達度SM2以深,リンパ管浸潤等で追加
手術を行った症例が12例,基礎疾患等があり経過観察して
いる症例が16例であった。
〈結論〉適応拡大病変も含めて,早期胃癌に対するESD
の治療成績は良好であり,偶発症の発現率も低値であっ
た。しかし,特に適応拡大病変においては今後も慎重な経
過観察が必要と考える。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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