日本農村医学会学術総会抄録集
Online ISSN : 1880-1730
Print ISSN : 1880-1749
ISSN-L : 1880-1730
第59回日本農村医学会学術総会
セッションID: P1-G4-3
会議情報

アンケート調査からみた楽しい看護ができたと感じる要因
永井 恵子
著者情報
キーワード: 楽しい看護
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

当病院は人口41300人中65%が65歳以上を占めている地域密着型中核病院である。急性期看護が必要とされる患者が当病棟に集中しており、医療の高度化に伴い、高い専門性を要求されている。しかし、日々、処置や治療の介助に追われ、スタッフからは「自分の看護に自信が持てない」、「看護ができていない」という意見が聞かれているのが現状であり、当院の看護部の理念である楽しんで看護をすることが出来ていないのではないかと感じる。そこで、今回、楽しく看護ができているか、楽しいと感じる因子について検討したので、報告する。 _I_ 研究目的  楽しく看護ができているか、できる要因は何かを明らかにする。 用語の定義  楽しい看護とは心が満ちて、気分がいい看護 _II_ 研究方法  当科看護師26名に研究者が作成したアンケートにて調査を行った。アンケート内容は性別、年齢、経験年数、楽しい看護体験の有無、どのような看護体験か、現在、楽しい看護をしていると感じることがあるか、どのような時に楽しい看護をしていると感じるか、思う・あまり思わない・思う・非常に思うに4から1の点数をつけ、平均点を出した。項目については_丸1_上司にほめられた_丸2_チームメンバーとの連携を取り、看護をした_丸3_チームカンファレンスでの話し合いがうまくいった_丸4_医師との良い連携で治療の介助ができた_丸5_医師とのカンファレンスが持てた_丸6_パラメディカルとの連携で看護ができた_丸7_自分の能力向上のための研修_丸8_患者さんとコミュニケーションがうまくとれた_丸9_看護師の人員が多く仕事が早く終わった_丸10_希望する病棟への異動_丸11_患者さんから感謝の言葉をかけられた_丸12_その他12項目とした。SPSS11.5for windowsを使用し、集計、経験年数1~3年の人、5年以上の人と楽しい看護体験がある人の関係について、X2検定を行った。労働者の満足感を増大させる動機付け要因であるハーツバーグの2要因に基づいて分析した。 _III_ 結果・考察 過去には楽しい看護を経験しているが、現在看護を楽しいと感じていない。楽しい看護を感じる要因には、患者さんとのコミュニケーションが上手くできること、患者さんから感謝の言葉をかけられることと感じている人が多い。項目別には患者さんとコニュニケーションがうまくとれた、患者さんから感謝の言葉をかけられた時に平均点が高く自分の能力向上のための研修や希望する病棟への異動が低かった。その他に記述回答で自分の知識が生かせた時、自分の思いが通じた時、嚥下不全の患者さんに関わり、食べることができた時と答えた人がいた。   ハーツバーグの2要因理論にて分析したところ、衛生要因が高いことについてはスタッフの意識に達成や成長につながる動機付けの要因につながっていないことが言えるのではないか。今回、楽しい看護ができる要因について、研究者側から提示したことであり、スタッフからの多くの意見を聞くに至らず、具体的な言葉や要因を引き出す事ができなかったが今後は楽しい看護ができる環境や具体的な因子を探っていき、具体的な目標としてあげていくことが必要と考える。

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top