地球温暖化抑制が大きな課題となっているが、温暖化自体は特別な現象ではなく、地球史の中で普通に起こってきた現象である。水蒸気、二酸化炭素、メタンなどの温室効果ガスは、火山活動由来のガスとして太古の昔より常在していたガスであり、これらのガスによる温暖化も地球の常態であった。原始地球においては大気中には高濃度の二酸化炭素や水蒸気が存在し、極端な温暖化が起こっていたと考えられている。現在の金星が高濃度の二酸化炭素により灼熱地獄となっているのと良く似た現象である。現在は太陽活動の極小期を迎え2008年以降世界気温の上昇は緩やかになっているが、既に1906年から2005年の100年の間に0.74℃の気温上昇が起こっており、大陸氷河の融解や海面上昇を引き起こし、自然や社会に対する様々な温暖化影響がみられている。温暖化影響は気候変化や気温上昇のみならず、気象の不安定化に因る災害、熱波等の夏季の高温、旱魃、豪雨のような極端な気象による気象災害として顕在化しつつあり、各国が独自に影響対策と緩和策に取り組む必要が出てきている。 石油(生産)ピークは各国においてエネルギー資源として天然ガスや石炭への急速なシフトを促している。資源的に豊富な石炭へのシフトは二酸化炭素の放出を急増させると予想されるため、地球環境にとっては憂慮すべき事態になりつつある。石油ピークを迎え石油需要に供給が追いつかない需給バランスのずれは、近い将来再度の石油高騰を招き経済を疲弊させ、社会の適応能力を弱める可能性が強く、温暖化対策はより制限されたものにならざるを得ない。地球温暖化と石油減耗はこれまで人類が経験したことのない解決の困難な事態を招くと予想されるため、何故世界各国が石油消費の抑制と自然エネルギー利用拡大に果敢に挑戦しているのかについて触れたい。