<はじめに> 消化器内科病棟では、肝性脳症や認知症による不穏、消化管出血に伴う貧血状態による転倒転落が発生している。先行研究から、ツールでの評価は目安であり、看護師の観察能力や個別性を重視して患者に関わることが重要であると報告されている。看護師の転倒転落の危険性に関する意識の実態について調査したので報告する。
<研究方法>
期間:2009年6月~10月
対象:病棟に勤務する看護師22名
方法: アンケート調査(選択式3段階評価)
倫理的側面の配慮:目的・方法を説明し情報は研究以外では使用しないことの承諾を得た。
<結果> _丸1_「患者の状態が変化した時に転倒転落アセスメントスコアシート、不穏行動予測スコアシート(以下転倒・不穏スコアシートと略す)の見直しを行っているか」は「常に行っている」13名(59%)「時々行っている」8名(36%) 「殆ど行っていない」1名(5%)であった。転倒・不穏アセスメントシートの具体的な使用方法があいまいで見直しをしていない、転倒したとき見直しを行っているが転倒以外の変化に対して行っていないという意見が聞かれた。_丸2_「入院時に転倒転落の危険性について患者・家族に説明しているか」は、「常にしている」13名(59%)「時々している」8名(36%)、「殆どしていない」1名(5%)であった。_丸3_「チーム内、病棟全体での振り返り・情報共有しているか」は、「常にしている」12名(54.5%)「時々している」10名(45.5%)であった。
<考察>看護師の転倒転落の危険性に関する意識を高めるため転倒・不穏スコアシートの活用マニュアルを作成し定期的に評価していくことが必要である。また入院時の状態やADL状況、年齢に関係なく危険性について説明することは必須であると考える。さらに毎日のカンファレンスの時間を活用し転倒転落の危険性が高い患者のリスク確認をすることが示唆された。転倒転落防止のために振り返り評価する時間を設定することで、病棟スタッフ全員が情報を共有し看護ケアにいかしていくことが課題である。