日本農村医学会学術総会抄録集
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第59回日本農村医学会学術総会
セッションID: W5-6
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社会的環境が糖尿病発症に及ぼす影響をBMIより探る
~栄養指導実施症例における血糖管理を阻む要因とは~
上條 広高黒田 理紗岡崎 弘子石川 知子
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キーワード: 糖尿病, BMI, 生活習慣
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抄録

【はじめに】当院では、年間1318件の外来個人栄養指導を実施し、うち599件45.4%が糖尿病の患者である。今回、我々は、栄養指導を通じ糖尿病患者の職業、食生活、生活習慣等社会的環境と糖尿病発症との関わりをBMI別に分析し、血糖管理を阻む環境因子がどのようなものなのかを明らかにし効果的な栄養指導を目指す。 【方法】2009年4月~2010年3月までに外来栄養指導を行った2型糖尿病患者115名(男54名、女61名、平均年齢59.4歳)について問診調査を行う。分析はBMI別5群分け(22以下:正常_I_、22.1~24.9:正常_II_、25~27.9:肥満_I_、28~29.9:肥満_II_、30以上:肥満_III_)とした。調査内容は、_丸1_職業、_丸2_合併症、_丸3_家族数と家族構成、_丸4_食事摂取時間、_丸5_間食、_丸6_飲酒、_丸7_外食、_丸8_運動。また、栄養指導初回時と2回目、3回目指導時に身長、体重、BMI、血糖値、HbA1cを調査し生活習慣の変化も追跡した。 【結果】平均BMI26.1、平均血糖185.3mg/dl、平均HbA1c8.1%。職業は56%が無職と主婦であり肥満_III_群の53%が主婦であった。間食有りは71%で肥満_I_群の92%が間食有り。飲酒有り32%。外食有りは64%で肥満_III_群35%が週1~2回。運動なしは64%で肥満_I_群が77%と最高。初回と継続指導後のHbA1cを比較すると0.5以上の改善群が57%、0.5以上の増悪群が9%、中間域の変化無群が34%。改善群は飲酒、運動、欠食、間食などの行動変化がみられた。 【考察】今調査の結果より、高血圧・脂質異常症等合併症の発症は肥満_I_群から始まり、肥満_II_群で最高となるため発症後早期からの体重管理が重要と考える。糖尿病発症には夕食時間の遅延、間食、運動の環境因子が重なって影響し、BMI25が発症分割線と思われる。また、栄養指導実施後の改善を阻む因子は、夕食時間、飲酒、運動の生活習慣の行動変容がないことであり、間食をしていてもそれらの行動変容により改善が見込まれる。食事と運動の重要性が示唆された。

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© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
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