日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2C-7
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ソナゾイド造影超音波検査による胆嚢隆起性病変の検討
中村 俊一菅原 司片石 慎一岩間 寛野瀬 弘之大野 竜一東 弘志内田 多久實横山 仁藤永 明
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抄録

【目的】 胆嚢隆起性病変の鑑別診断におけるソナゾイドを用いた造影超音波検査の有用性について検討する。 【対象】 2008年10月から2011年4月までに当院にてソナゾイド造影超音波検査を施行し、病理学的または総合画像診断にて診断が確定した胆嚢ポリープ5例、胆嚢腺筋腫症8例、胆嚢癌2例である。 【方法と検討項目】 Bモードにて胆嚢隆起性病変の最大断面になる部位を描出し、造影モードに切り換えてソナゾイドを0.5ml投与し、低音圧連続送信にて観察を行った。Mechanical Indexは0.2~0.3、frame rate 15~30fps、focus pointは病変の下端1cmに設定した。 各疾患における染影パタンと輝度変化曲線(TIC:Time Intensity Curve)の検討を行った。 【結果】 胆嚢隆起性病変の染影パタンは線状型(linear type)、点状散在型(scattered type)、点状びまん型(diffuse type)、樹枝状型(branched type)の4型に分類された。 染影パタンにおける疾患別内訳は線状型は3例に認め、全例胆嚢ポリープであった。 点状散在型は8例に認め、全例胆嚢腺筋腫症であった。点状びまん型は1例に認め胆嚢ポリープであった。樹枝状型は3例に認め、胆嚢ポリープ1例、胆嚢癌2例であった。 輝度変化曲線における各疾患のTIC曲線の立ち上がりに有意差は認めなかった。 輝度値の上昇は胆嚢ポリープ 平均16.2dB、胆嚢腺筋腫症 平均12.4dB、胆嚢癌 平均 30.3dBと胆嚢癌にて高く有意差を認めた。(p=0.001) 【まとめ】 胆嚢隆起性病変に対する超音波診断としては従来の形態学的診断が基本ではあるが、ソナゾイドを用いた血流診断を加えることによりリアルタイムに病変内の詳細なflow imageの診断が可能になると考えられた。またTICを作成することにより客観的な良悪性の鑑別診断が行える可能性が示唆された。染影パタンとTICを組み合わせることで胆嚢隆起性病変の質的診断に有用な検査になりうると思われた。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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