胃X線検査における飲水制限緩和の検討
~受診者の負担軽減を目指して~
≪はじめに≫
胃X線検診では、残渣による偽陽性・偽陰性の発生を最小限に抑えるため、前処置として検診前日からの絶飲食が一般的に行われており、当院でも検診前日の21時以降を絶飲食としている。しかし、前日からの長時間にわたる絶飲食は、受診者の空腹感や喉の渇きなどの生理的負担が大きいことが予想される。そこで、超音波検査など他のモダリティに影響を与えず、画質を担保したまま受診者の負担軽減を図ることを目的に、就寝までの飲水制限の緩和および検診開始時間の3時間以上前に約200mlを飲水してもらう飲水コントロール群と現状の非コントロール群との画像評価を行い、比較検討したので報告する。
≪方法≫
飲水コントロール群339名(内訳:男218名、女121名、平均年齢54.7歳)と非コントロール群333名(内訳:男200名、女133名、平均年齢51.8歳)を対象に、胃X線基準フィルムを参考に辺縁、粘膜面の描出度合(過形成・非過形成)、凝集、十二指腸への流出度合を胃がん検診専門技師2名で画像評価を行った。尚、評価体位は共通して背臥位二重造影正面位にて行った。
超音波所見は、飲水が原因と思われる特異な胆嚢壁の全周性肥厚および膵管拡張などの異常所見がないかを確認した。
≪結果・まとめ≫
胃X線検査では、飲水群と非コントロール群の画像評価に有意差は見られなかった。超音波検査では、飲水による胆嚢壁の肥厚および膵管拡張などの特異な異常所見は見られなかった。以上の結果より、今回の検討は当初の目的が達成されることが示唆されたため、受診者へのサービス向上を図る上で新たなシステム構築ができた。