日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2J-C-6
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災害協力隊としての活動報告
鈴木 大介疋田 舞江口 善美橋本 浩之石井 茂
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キーワード: 災害医療, 使用薬剤
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抄録

【はじめに】2011年3月11日に太平洋三陸沖で発生した巨大地震により多数の方々が被災し避難する中、相模原協同病院(以下、当院)では、福島県南会津郡桧枝岐村からの依頼により、同村に避難した被災者の診療のため、薬剤師を含む総勢7名の災害医療協力隊を編成し2011年3月24日から26日まで医療支援を行ったので報告する。
【方法】災害医療協力隊は、医師2名、看護師2名、薬剤師1名、事務職2名の7名で構成した。当院からは、内服薬(小児科に関しては、体重ごとに約束処方とした散剤)、外用薬、注射薬を準備した。25日現地に仮設診療所を設置し、健康診断や医療相談等の診療を行った。この仮設診療所に受診できない患者には、予め往診が必要かを確認し、被災者が宿泊している宿へ往診した。その際当院から持参した薬剤の使用について集計、検討した。
【結果】仮設診療所での診察51名(成人14名・未成年37名/内処方有26名)、往診6名(成人4名・未成年2名/内処方有3名)。処方した計29名に対して薬剤師より、お薬手帳を作成して服薬指導し投薬した。
持参した薬剤52種類のうち使用した薬剤は18種類であった。その内訳は感冒症状薬を主に使用し、そのほか肩こり、腰痛、下痢、便秘、アレルギー薬等が使用された。
【考察】災害の影響で、精神的に不安定となり、無気力、不眠に罹る患者や、避難することで生活環境が変わり、感冒様症状に罹る患者が多く存在することがわかった。またストレスによる胃痛、下痢、便秘を訴える患者や、花粉症、蕁麻疹等のアレルギー症状の患者へは対応が必要と考えられた。
避難所を転々としている患者のなかに、その先々でお薬が処方され、先発品と後発品を同時に服用している患者もいた。重複投与や相互作用を確認するためにはお薬手帳が重要であると考えられた。
今回の災害医療協力隊に参加したことによって、薬剤師は診察で医師が処方した薬だけでなく、お薬手帳を通じて避難者の持病に対しての薬のケアにも、直接関わることが大切だと考えられた。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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