日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2J-C-19
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脳ドックにおける頚動脈描出能の検討及び大脳白質病変の関連
日比 英彰岡田 浩幸高木 理光野田 秀樹安部 威彦橋本 英久
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キーワード: 脳ドック, MRI, 頚部US
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抄録
【はじめに】
医療機器の発達した現在、脳内病変の有無を無侵襲に行なえる脳ドックが全国的に普及しており、頚部血管内病変の観察目的には異なった2種のモダリティにより行われています。脳ドックにおいて大脳白質病変がしばしばみられ、無症候性脳梗塞と共に脳卒中の危険因子であることが報告されています。そこで頚動脈MRAと頚動脈US描出能の比較及び内膜・中膜複合体肥厚であった症例においてMRI画像上、大脳白質性病変との関連性を検討したので報告します。
【対象・方法】
2008年1月~2011年3月の間に、当院脳ドックを受診した168名であった。
当院脳ドックにおける頚動脈MRAおよび頚部USの所見の比較をする。
頚動脈US上IMT肥厚のあった症例について大脳白質病変の程度を脳ドックガイドライン上におけるグレード分類を行なった。
【結果】
頚部MRAにおいて異常なし166名狭窄2名頚部USにおいて異常なし122名狭窄3名IMT肥厚43名であった。
IMT肥厚のある症例において分類したところ、DSWMHグレード0 16名グレード1 12名グレード2 14名グレード3 1名グレード4 0名PVH グレード0 22名グレード1 20名グレード2 1名グレード3以上はみられなかった。
【考察】
MRA上狭窄を呈した2症例は頚部USの所見と一致した。頚部US上狭窄を呈した1症例、IMTの肥厚を呈した43症例において再度頚部MRAの見直しを行なったが明らかなプラークなどの存在を同定できるような所見は認めなかった。原因としてUSは血管壁を描出しているのに対し、MRAは血管内腔を描出している為かと思われた。MRAにて用いられるTOF法はin-flow効果を用いるため、プラークの形状、大きさなどにより著しく血流を妨げる大きなプラークや限局的な肥厚であれば血流に変化が生じMRAにて描出されるものと考える。
頚部USにおいてIMTの肥厚を呈した43症例における大脳白質病変は、IMTの厚みが増すにつれグレードが高い傾向を示しIMT肥厚と大脳白質病変の関連が示唆された。
今後脳ドックにおいてこれら無症候性の所見を発見していくことが重要であるとおもわれる。
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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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