日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2J-D-12
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迅速なカルテ出庫に向けTDファイルの精度向上と確実な管理
奥村 良子山崎 早百合松尾 容子笠井 東子
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キーワード: 紛失カルテ, 意識, 環境
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抄録

当院は地域医療のさらなる発展をめざし、同地域に有った2病院が統合し平成20年5月に移転新築した。移転時に両病院に現存するカルテを移設し永久保存とした。
管理方法は両病院の患者IDの統合を行いTDF方式での保管・管理とした。新病院では電子カルテを導入しての開院であったが旧病院の紙カルテも患者さん、病院にとって大切な財産であることから必要時に迅速なカルテ出庫に向けファイリングの精度向上と確実な管理のため行った取組みを報告する。
(問題点)1.移転時のTDF作業時の入込みミスや貸出後の返却時の入込みミスなどファイルの入れ間違いによる紛失カルテがある。2.急な大量出庫依頼や貸出期限が過ぎても返却されない、使用していないカルテが放置されているなど職員のカルテ管理に対する認識不足。3.開院当初、スムーズな外来診療に配慮して直近の外来カルテを各科に保管した為、分散していたカルテの合冊作業を開始したが開院後のスタッフの更衣室、医局の拡張に伴い保管場所の変更や保管庫がうす暗く通路も狭いという環境の悪さの問題があった。
(対策)1.合冊作業時に全ファイルのTDラベルと中のカルテとの照合をダブルチェックした。2.カルテ管理のマニュアルを作成し配布した。その後、周知度のアンケートを実施した。3.カルテ庫の蛍光灯を増設、ファイルを整理して収納する事で通路を確保するなど環境整備を行った。
(結果)誤ファイルされていたカルテを正しくファイルする事が出来た。マニュアルの配布前と比べカルテ管理に対する理解度は増加した。環境の整備により出庫・収納がしやすくなったなどの結果が得られ迅速なカルテ出庫に向けた精度向上が図れた。今回の取組みは大切な情報源であるカルテを保管・管理する上で単純作業ではあるが正確さと忍耐力が必要な業務であることを知ってもらう機会になった。今後も精度維持に努めていきたい。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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