日本農芸化学会誌
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纖維素原料に關する研究(第2報)
植物原料に依るα-纖維素の異同
渡邊 護
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1935 年 11 巻 8 号 p. 624-634

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抄録

1. 朝鮮産陸地棉及び在來棉の種毛,靱皮部,及び木質部,滿洲産青麻,ケナフ,紅松,北海道産白カンバ,南洋サラワツク産カユセレモー,カユバル及び其他の材料を使用して,色々の分離法に纖維素を調製し,
2. 17.5%の苛性曹達溶液にて繰り返し處理した場合のα-纖維素の分壞してゆく割合を測定し,
3. 重クロム酸加里の酸性溶液にて酸化を行ひ,此の酸化劑に對するα-纖維素の態度を觀察せり.
4. 其結果酸化劑に對しては,植物原料の種類及び分離法の相達に依つて,α-纖維素の抵抗性に著しき差異を認めざりしも,
5. 17.5%の苛性曹達落液にて反覆處理した場合には,その分壞の程度を甚だしく異にせり.
6. 故にα-纖維素は植物原料の種類及び分離法の差異によりて理化學的性質が異るものであらうと論じた.
7. 最後に入造絹絲用パルプの品質の決定法として斯くの如き方法が適用出來るならば實用上至便なる旨を論ぜり.

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