日本農芸化学会誌
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細菌の粘質物生成に關する研究(第1報)
各種納豆生成菌の分類
呉 祐吉中村 精二
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1937 年 13 巻 4 号 p. 295-304

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抄録

以上各菌間の主要差異は第8表(A)の如し.但し炭素源に就ての榮養及び酸生成に關する點は第5表並に第6表にて示せる如し.
尚第8表(B)は澤村,村松,井口,山本,田村,半澤氏等により分離されたる菌と比較せんがため表中の諸性質中,文獻に記載あるものを此處に示せり.
之等各菌は著者等の分離せる13變種の菌中いづれに該當すべきか,本表に依り決定するは困難なるも大體備考欄に示せる如く推定せり.
各種納豆生成菌の既知細菌分類上の位置上記13種の納豆生成菌は胞子形成部位中央部なるもの及び端部なるものとに二大別する事を得.既ち第6號,第11號菌は胞子形成部位は中央なるも其他の各菌はいづれも端部なり.
第1號菌に就ては既に山本,田村兩氏により其細菌分類上の位置は提示されたり.胞子形成部位端部の各菌即ち第號第6號,第11號菌以外はすべて其變種なりと推定さる.
第6號,第11號菌に就てBergey's Manualにより此等の菌に類似の菌を求めれば第10表の如し.即ち本菌はBac. vulgatusに極めて類似するもBergey's Manualに從へば胞子形成部位の細胞膨大の有無により胞子中央部の菌は二大別するを以て本菌はBac. Prausnitzi及びBac. tumescensに最も類縁の度大なりと云ふべし.(第10表参照)
終りに終始御懇篤なる御指導を賜りし高橋偵造先生並に坂口謹一郎先生に對し茲に謹みて感謝の意を表す.
又菌を御分與下され種々御注意を賜りし有働繁三博士及び各地より納豆を御送り下されたる中村義夫氏,鹽入英次氏,鳥山史郎氏,小田信氏,關豪三氏,太田正通氏,橋本重久氏に對し深謝す.
尚本研究費は三井報恩會に依るものなり.併せて茲に深謝す.

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